毎月頭に投稿していた「ダイエット記録」が突然別の企画に置き換わったことに何かを察した方は多いかもしれませんが、半分お察しの通りです(え) とりあえず10月と11月の体重変化はまとめて紹介するということで… 報告したいことはいろいろありますが、それ以上に体重が順調に落ちたことを報告したいので、そうなる(というかそうする)までお待ちください!
その代わりに今回は新企画「なまこマンの読書メーター」をお送りしようと思います。最近、運動がてら図書館にも通うようになったのですが、読書って楽しいですね。図書館では未知の本と気軽に出会うことができます。僕は小中学生の頃に図書室が大好きで、特に中学時代には3年間図書委員を務めていました。先日、名古屋の市立図書館で久しぶりに本を借りたら、読書の楽しさを思い出しました。
そこで、読んだ本の感想を当ブログでも「読書メーター」のごとく記録していくことにしました。読書メーターの感想って、字数制限がありますからね。書き切れなかった感想をこちらで語っていきます。
今月は「『嫌われるのが怖い!』がなくなる本」と「読む寿司 オイシイ話108ネタ」を紹介します!
「嫌われるのが怖い!」がなくなる本
「嫌われるのが怖い!」がなくなる本(大和出版)
なかがわ中之島クリニック院長 中川晶・著
皆様は「人から嫌われる」ということについてどのように考えていますか。「自分を強く持っているから他人がどう思おうが関係ない」という方もいるとは思いますが、僕はどちらかというと人の顔色を気にして、自分を押し殺したり、自分や他人に嘘をついてしまうことが多いように思います。
この本では、嫌われることを恐れて本当の自分を隠してしまい、日々の生活や人付き合いにしんどさを覚えている人に対し、今までとは少し違った考え方や視点を提案することで、少しでも自分らしく生きて、気持ちが楽になれるようにしています。「嫌われるのが怖い」と感じる理由を紐解きつつ、読み進めていくにつれて少しずつ考え方を柔軟にできるように構成されています。
そもそも、何故人は「嫌われるのが怖い」と思うのでしょうか。これは目から鱗だったのですが、著者の中川先生曰く「嫌われるのが怖い」と感じている人の恐怖の本質は「嫌われるかもしれないという不安や強迫観念」であるようです。それはある意味「人から実際に嫌われる経験をほとんどしたことが無いからこそ、嫌われてしまうことを怖いと感じる」ということで、例えるなら「生きている人間が、経験したことの無い死を恐れているのと同じ状態」であるようです。とはいえ、人から嫌われるということは、死と比べると本当は屁でも無いことのはずです。だからこそ、この本を読んで考え方を少しずつ修正していきましょうねというわけです。
この本では「嫌われるのが怖い」と感じている人のとりがちな行動や陥りがちな考え方をほぐすために、様々な例を交えて平易な言葉で語られていますが、全体的に「自分の状況を客観視すること」と「合理的に考えること」を推奨しているように感じました。これは確かにその通りで、感情や行動の理由を一つずつ紐解き、状況を客観視することで今まで気付かなかった視点から出来事を俯瞰できるようになり、新たな解法が見えてくるものです。そして、一時の感情に左右されて行動するよりも、長い目で見て合理的な選択をした方が結果的に楽になれるものでもあります。このような客観視や合理的な考え方ができるようになると、自尊心を正しく刺激できるようになります。そうすれば、あれだけ恐れていた「嫌われた状態」に陥っても速やかに立ち直れますし、うまくいかない相手との関係についても、自分のふがいなさを責めるのではなく、捉え方一つでポジティブな要素を見出し、自分の成長のきっかけの一つにすることができます。
「嫌われないために無理をしてしまって、人間関係に疲れる」という状態の解法として、最も目から鱗の落ちることが書いてありました。なんと「自分にとって負担になるような相手に対しては、一度感情を露わにしてしっかりと戦え」というのです。「そういう衝突を避けたいからこの本を読んでいるんだよ!」と思ってしまったのですが、これもよく考えてみると、結局は合理的に考えることに行き着くのだと思いました。自分が感情をぶつけたことで、確かに関係には一時的にひびが入るかもしれません。ですが、もし相手が自分との関係を大切に考えてくれているのだとしたら、怒ったことをきっかけに距離感を改めてくれて、より良い関係になれる可能性があります。逆にこれで逆切れされるようならば、そのときは「面倒な相手」としてそれ専用の割り切った対処を適用すれば良いわけです1。要は、こちらが鬱屈した思いを抱えたまま、今のままの距離感を維持して消耗し続けるぐらいなら、良くも悪くも関係性を解体して作り直した方が建設的だということですね。
実は、嫌われることは決して怖いことでは無いので「嫌われちゃってもいいさ」と逆に考えた方が楽に生きられるし、そのためには状況の客観視や合理的な考え方がとても大切です。そのことがよく分かったので、この本は僕にとってとても価値がありました。一方で、この本を読み、自分を客観視してみたところ、自分の心にある別の問題点も見えてきました。次はそちらにアプローチできる本も探してみたいと思います。
読む寿司 オイシイ話108ネタ
読む寿司 オイシイ話108ネタ(文藝春秋)
河原一久・著
「読む寿司」というキャッチーなタイトルに惹かれて、手に取ってみました。図書館ではこのような本を気軽に試せるのが良いですよね。
僕は食に関して、いろいろとうんちくやトリビアを仕入れたいタイプの人間です。料理が作られるまでのドラマや、料理が生まれた文化的・地域的な背景、作り手のこだわり等の食に関する裏話は、舌に感じる味覚の刺激と合わせて、食事をより味わい深く、楽しいものにしてくれるような気がします。
映像ディレクター、映画評論家として活動されている著者の河原一久氏は、海外の友人が日本の寿司に感動の涙を流したのを見て、日本の寿司文化に強い興味を抱くようになりました。そうして知り得たことや経験した興味深いエピソード、寿司トリビア等が「108ネタ」収録されています。
これまで様々な場所でなんとなく食べてきた「寿司」という料理ですが、握り寿司という形になって広く食べられるようになった江戸時代から令和の現代に至るまでの長い時間を経て、様々な変化が訪れています。そして、時代に応じて様々な変化を受け入れることで発展してきた歴史があります。
例えば、今でこそ寿司の花形ネタであるマグロは、江戸時代には好まれておらず、トロに至っては「猫すら食べずに跨いで通り過ぎる」ということで「猫またぎ」と呼ばれていたのですが、マグロの豊漁をきっかけに「このまま腐らせるよりはましだから」と寿司に使われて、そこから美味しさが認知されていき、寿司ネタの定番になっていきました。あらゆる食べ方でマグロの寿司が楽しまれている現代では信じられないことですね。
歴史上の出来事も寿司に変化をもたらし、大きな影響を与えています。
関東大震災は、かつて江戸幕府のあった関東地方に壊滅的な被害を与えましたが、これにより江戸前寿司の職人たちは日本全国に散り散りになりました。ですが、この出来事は結果的に全国各地に江戸前寿司を浸透させ、各地でご当地の魚の使われた寿司2が生まれていきました。同時に、震災をきっかけに地方から東京に料理人が流入しており、その文化を取り入れて東京の江戸前寿司も発展しました。元々寿司屋では火を使わなかったのですが、震災後に関西の料理人の影響を受けて寿司屋でも茶碗蒸しや卵焼きが提供されるようになったのだそうです。
そして、第二次世界大戦は、寿司のシャリのあり方を大きく変えました。それまではシャリに用いられる酢は赤酢だったのですが、赤酢は生産に時間がかかるゆえに終戦直後の日本では提供しづらいものでした。また、配給米に有害なカビが繁殖し黄変するという出来事もあり、赤酢のシャリは黄変米と勘違いされるおそれがありました。その結果、米酢を用いたシャリが作られるようになっていったのだそうです。
このように、寿司は時代の事情に何度も左右されてきましたが、決して廃れてしまうことはなく、食べ続けられてきました。それどころか、時代の事情で「やむを得ず」行われたことが結果的に寿司の可能性を広げているというのは、非常に興味深い話でした。
「寿司には様々な変化を受け入れ、それを取り込んで発展してきた歴史があるからこそ『邪道』なんてものは無い。」
それが著者の河原氏の主張であるように思いました。実際にこの本でも、各店舗でそれぞれの進化を遂げてきた個性的な寿司が数多く紹介されています。
前述のように、寿司は長い歴史の中で変化を受け入れ、進化していった一方で、その技術と精神性は職人芸として現在も変わらず受け継がれ続けています。そもそも、漬けや昆布締め等といった江戸前寿司の技法は「保存」のために発展したもので、今でこそ冷蔵・冷凍技術が発達しているのでどの地域でも比較的新鮮な状態の寿司を食べられるのですが、当然ながら冷蔵庫も冷凍庫も無い江戸時代には、寿司をいかに長持ちさせるかに心血が注がれていました3。ある意味では、保存状態が劇的に良くなった現代においてその技術は必要のなくなったものと言えるかもしれませんが、それでも寿司職人たちの技術や精神性は現代に至るまで受け継がれ続けています。すなわち寿司は単に「数ある日本料理の一つ」というわけではなく「脈々と続く日本文化の一つ」ということでもあるのです。そう考えると寿司という料理の見え方も少し変わってきますよね。
この本を読むと、江戸前寿司を食べたくなります。この本で得た知識が、寿司を美味しくしてくれるような気がします。寿司という料理は、単に酢飯(シャリ)に刺身(ネタ)を乗せただけの料理では無く、シャリとネタを一緒に食べて最高のバランスになるように作られています。近年はどちらかというとネタのクオリティが重視されがちな印象がありますし、僕自身もこれまでに食べた寿司ではどちらかというとネタにばかり注目していた気がしますが、寿司職人は当然ながらシャリにも力を注いでいるわけで、ネタの性質に合わせて「最も旨いバランス」になるように、計算してネタにシャリを合わせているといいますし、ネタにも「昆布締めにする」「おぼろ4を噛ませる」等といった工夫が凝らされているわけです。そのことを踏まえて、自由な進化と変わらぬ確かな職人技の双方を兼ね備えている、江戸前寿司を食べたいです!この本で得た、寿司を美味しくしてくれるうんちくの数々を心の中で噛みしめながら、良い感じの店を探してみたいですね。
やっぱり読書は楽しい!
図書館で本を借りたのは数年ぶりでしたが、久しぶりに図書館に赴いて、気になるタイトルを手に取ったことで、本が大好きだった少年時代の自分を思い出しました。最近は「暇さえあればスマホばかり見ている自分」に少し思うところがあったので、デジタルデトックスがてら読書をしていますが、ネットサーフィン以上に没頭できますね。
図書館の良さはやはり「気になる本に気軽に手を出せること」だと思うので、これからも定期的に新たな本との出会いを求めようと思います!
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