徳島県を東西に貫く幹線道路、吉野川北岸の鳴門池田線(県道12号線)沿いには昭和を思わせるノスタルジックなドライバーのオアシスがある。
今回は、阿波市土成町のオートパーラー「コインスナック御所24」を紹介しようと思う。
オートパーラーというのは、モータリゼーションの進み始めた昭和時代に幹線道路沿いに整備されたレジャー施設で、主に自動販売機とゲームセンターから構成されている。長距離ドライバーや地域の人々の憩いの場として機能してきた施設ではあるのだが、現在ではその役割をコンビニにとって変わられ、数を大きく減らしている。
しかし、このコインスナック御所24は今でも多くの車両で賑わっている。並ぶ自動販売機は飲料の他にも、カップヌードル自動販売機や、瓶タイプのコカ・コーラ自動販売機、トラック運転手を見据えての手袋の自動販売機、さらにいわゆる「1000円自販機」(豪華な景品が出てくる可能性のある、ブラインドボックスタイプの自動販売機)というものもあった。
ここに残る自動販売機の中で最も特徴的なものは、この「うどん・そば自動販売機」と「ボンカレー自動販売機」だろう。どちらも昭和時代には盛んに稼働していたものだが、現在はその数を大きく減らしている。ここにあるものは貴重な生き残りである。特に、ボンカレー自販機に至っては現在でも現役で稼働しているものはここのものが唯一だという。
「そば うどん」や「ライス」のフォント、野球選手に扮した若い笑福亭仁鶴師匠… 当時を知らない平成生まれの僕でも、どこかノスタルジックな気持ちになってしまうのは、自販機の辿ってきた歴史を否応なしに感じさせられるからだろう。
せっかくなので、食べてみようと思う。
そば・うどん自販機は一杯250円で、きつねうどんと天ぷらうどんを選ぶことができたが、訪れた日はきつねうどんが売り切れていたので天ぷらうどんを選んだ。
切れかけのデジタル数字に哀愁を感じながら待っていると、天ぷらうどんが出来上がった。
太い麺はスーパーによく売っている「ゆでうどん」のような食感で、コシは強くない。薄い色のつゆも西日本ではよくあるタイプだ。天ぷらの、つゆがしみたところとしみていないところの食感のコントラストも楽しい。
言ってみれば何の変哲もないうどんだけれど、こうやって屋外の駐車場で自販機で買って食べているというシチュエーションが妙に旅情を掻き立ててくる。
続いてはボンカレー。値段は300円で、中辛と辛口があったが、中辛が売り切れていたので辛口を選んだ。ボタンを押すと温まった状態で、ご飯とカレールーの袋のセットが落ちてくる。
自販機は「ボンカレー(大塚食品)」だが、包みからは「咖喱屋カレー(ハウス食品)」のパッケージが思いっきり透けて見えていた…
ご飯にかけてみるとこんな感じ。ずっしりとしており食べごたえは十分だ。やっぱり咖喱屋カレーは具がゴロゴロと大きめなのがいいね…
こちらのコインスナック御所24は現在でもオーナーによって入念な管理がなされており、自販機コーナーもゲームコーナーもドライバーや地元住民で賑わいを見せている。訪問当時はまだ平成だったが、昭和の香りを令和に残す貴重な場所としてこれからも残り続けてほしいものだ。
徳島県阿波市土成町吉田原田市の一
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