8月12日から15日にかけての4日間は、徳島市が最も盛り上がる4日間。徳島を代表するイベント「徳島市阿波おどり」が開催される。
昨年は阿波踊りの赤字に端を発する問題で、運営と踊り手団体との対立が激化し、全国放送のニュースでも取り上げられる事態にもなっていたが、今年からは運営を民間委託することで再出発を図ることになった。また、昨年度に中止された「総踊り」の復活も決まった。
しかし残念なことに、台風10号の接近のため8月14日以降の日程は中止となってしまった。なので、台風が来る前にしっかりと「見るあほう」になってきた!
踊るあほうに見るあほう、同じアホなら踊らにゃ損損♪
8月13日。徳島駅前はすっかりお祭りムード。いつもより多くの人でごった返した駅前から、新町橋のほうへと歩いていく。
新町橋通りもこの盛り上がり。「踊るあほう」もとい踊り手たちに、踊りを見物したりお酒を飲んだりしている見物客でごった返し、皆思い思いに祭りを楽しんでいる。
このように、歩行者天国状態になった大通りで踊る踊り手たちを見るのも良いけれど、腰を落ち着けて踊りを堪能したいなら「有料演舞場」がおすすめだ。
今年は思い切って有料演舞場の桟敷席でゆっくり踊りを見ようと思っていたけれど、駅から近い藍場浜演舞場は残念ながら満席。なので、他の有料演舞場を目指して歩いていくことにした。
普段は閑散としている東新町商店街(昔は市内最大の繁華街だったそうだが…)も、この盛り上がり。写真の躍動感も物語っていると思う。手振れとも言う
南内町演舞場のC席(自由席)の当日券を無事に購入することができたので、夜8時半からの演舞第2部を待つことにした。
できるだけ良い位置で見ようと、開場後一番乗りで入場して、演舞場の真ん中に近いB席(指定席)のすぐそばギリギリに座った(笑)
この演舞場というのは、一本道のような構造になっていて、入口から出口に向かって踊り込んでくる「連」(踊り手の団体)の踊りを、演舞場の両脇に設けられた桟敷席から眺めるようになっている。
有名連「蜂須賀連」
有料演舞場で踊りを披露するのは「有名連」と呼ばれる踊りの技術に優れた連が中心で、洗練された踊りを観賞することができる。
テンポよく鳴り響く太鼓や鳴り物の調子に合わせて踊り込んでくる、たおやかな女踊りに力強い男踊り。統率のとれた動きからは高い技術と、一年に一度の晴れ舞台を目指して行われてきたであろう特訓の跡を感じることができる。間近で見ると、その迫力に圧倒される。
有名連「阿呆連」
写真もたくさん撮ったけれど、後で見返してみるとなんだかよくわからない仕上がりのものばかりだった(笑)
……あれだよ。これも躍動感ってやつだ!
有名連「悠久連」の女踊り
有名連「新のんき連」の男踊り
阿波踊りというのはフリーダムな踊りなようで、大まかな形は共通していても、鳴り物のテンポや踊りの動きは連によって様々だ。アップテンポの鳴り物に合わせて勇猛な踊りを披露する連から、スローテンポでゆったりとした踊りを披露する連まで、様々な表情の阿波踊りを楽しむことができて、ギャラリーを飽きさせない。
ところで今回僕が座った南内町演舞場のC席は、連が入場する入口のすぐ目の前にある。
S席のような良い席は演舞場の真ん中あたりにあるけれど、多くの連は踊りの一番盛り上がるところを演舞場の真ん中あたりでやるから、「向こうのほうで何か盛り上がっているのに何も見えない」という歯がゆい状況が続いた(笑)
それでも、C席でも卓越した踊りの技術や、間近で見る迫力は十分に感じることができた。
夜10時半を過ぎて有料演舞の第2部が終わっても、「踊るあほう」も「見るあほう」もまだまだ盛り上がる。
徳島県民にとって阿波踊りというのは、とても大切な行事だと聞いたことがある。夏に差し掛かる前から、公園や河原など様々なところで鳴り物の音が聞こえてくる。それは、阿波踊りの練習の音だ。徳島県民は年に一度の阿波踊りを楽しむために準備に準備を重ね、本番で一気にはじけるのだという。
昨年の阿波踊りを巡る騒動のときは、「踊り手たちの練習が無駄になってしまうような事態は起きてほしくない」と思っていたけれど、今年はなんとか落ち着いて無事に開催することができて安心した。
天候不良のため不完全燃焼に終わってしまったのは残念だけど、それは来年以降のお楽しみにしよう。
今度は「見るあほう」で終わらず「踊るあほう」にもなってみたい。「にわか連」(一般来場客が、有名連から簡単に踊りの手ほどきを受けた後で実際に演舞場で踊りを披露できる)に参加してみようかな。
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