※記事の性質上、コオロギがたくさん出てきますので苦手な方は閲覧注意です!
先日、徳島新聞電子版にて気になる記事を見かけました。
なんでも、北島町の人気中華そば店「中華そば 田村」がコオロギを使った味噌ラーメンを提供するのだとか…
こんな珍メニュー、調査しないわけにはいきません!なまこ探検隊出動です!
・・・・・。
ほら!どうしたの!出動だよ!!
本気で言ってるんですか!?
徳島とコオロギ
「世界は人口増加に伴う食糧問題に直面しており、そう遠くない未来に訪れるであろう食糧危機に備えて昆虫食に注目が集まっている」という話を聞いたことのある方も多いかと思います。
2019年に創業された徳島大学発のベンチャー企業「グリラス」は、虫の中でも特にコオロギの可能性に注目しており、食用コオロギの社会実装を目的に活動しています。
コオロギは現在主に飼育される豚や牛などの家畜と比較して、同じ重量の飼料から得られるタンパク質が非常に多く、また飼育にあたって排出される温室効果ガスも少ないほか、廃棄される食糧(いわゆるフードロス)を飼料として利用できることから、次世代の優秀な栄養源およびタンパク源として注目されているのだそうです。
昨年、無印良品にて食用コオロギパウダーを使用したコオロギせんべいが発売されて話題になりましたが、その商品化の際にもグリラスが協力しています。
そんな地域のベンチャー企業であるグリラスと、老若男女問わず人気のある中華そば店の田村がコラボして生まれたのが「コオロギの味噌ラーメン」です。
コオロギの味噌ラーメンをいざ実食
余談ですがこの写真にはなまこマンの中の人が写りこんでいます
あわわ… 本当に来ちゃいました…
というわけで、田村にやってきました。ラーメン屋と言うと野郎のイメージがあるかもしれませんが、田村は外観も内装もカフェのようなお洒落な店舗で、女性客も多く訪れます。
多彩なメニューが並ぶ中に、本当にありましたよ。コオロギの味噌ラーメンが。
店主曰く「香ばしく食べやすいラーメン」で、コオロギを直に味わいたい方向けに、コオロギパウダーと姿コオロギを別皿に入れて提供してくれるようです。
また、コオロギは甲殻類アレルギーのアレルゲンにもなるようなので「甲殻類アレルギーの方はご遠慮ください」との注意書きもあります。
やっぱり普通のラーメンにしませんか?
それだと何しに来たんだって話になるじゃない。というわけでコオロギの味噌ラーメンに追いコオロギお願いします!
追いコオロギって何ですか!!!
コオロギをたっぷり楽しみたいというチャレンジャー向けに、150円で「追いコオロギ」をすることもできます。まあ想像に難くないと思いますが、要は姿コオロギの増量です(笑)
出来上がりを待っている間にも、他の客席から「コオロギの味噌ラーメン」の注文が聞こえてきました。どうやらかなりの人気商品のようですね。まあ今までにない試みですからね。昆虫食に抵抗のある方も多いかもしれませんが、それと同じぐらい、まだあまり身近ではない昆虫食を試してみたいという方も多いのでしょう。
もちろん僕も後者の人間です。昆虫食にはかねてより興味があり、機会があれば試してみたいと思っていました。弟が高校時代に、生物の授業で生物の先生と一緒にセミとダンゴムシを食べたという話を聞かせてくれました。その話を聞いて「羨ましい!」と思ったんですよ!(え) 僕も弟と同じ高校に通っていて、僕の卒業後に入れ違いで弟が入学したのですが、生物の先生が昆虫食に目覚めたのは間の悪いことに僕の卒業後だったのです(笑)
というわけで、こちらがコオロギの味噌ラーメンです!
あれ?コオロギだらけなのかと思ったら、そんなに目立ちませんね。
……と思ったら、いたぁ!!
コオロギの味噌ラーメンには、コオロギを粉砕したコオロギパウダーと姿コオロギが2匹添えられています1。なのでコオロギに抵抗がある方でもあまりコオロギを感じずに楽しむことができます。
……まあ、このメニューを頼んでる時点でコオロギを食べる気満々だとは思うのですが(笑)
例に漏れず僕もコオロギを食べる気満々なので、追いコオロギでさらなるコオロギを追加しました。
嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
壮観だなぁ…
追いコオロギはまあ、苦手な方にはきついビジュアルかもしれませんね(笑)
その数は約40頭。
それをラーメンにトッピングします!
異物混入じゃありませんよ。れっきとしたトッピングです!
そんなコオロギは一体どんな味がするのか。一匹つまんでよく咀嚼してみると…
これは… 小魚アーモンド?
本当ですか?
試してみる?
結構です!
サクッとした食感は煮干しやサクラエビに近い感じですね。風味はアーモンドや節分の煎り豆のような感じです。確かにこれは香ばしい。僕の脳はこれを完全に食べ物として認識しました。コオロギ、いけるで!
ラーメンのほうはとても濃厚です。スープは味がしっかりとしていて、濃厚さの中にも旨味があります。山椒で味変すると良い感じにさっぱりしますね。徳島新聞の記事によるとスープのベースは鶏ガラや昆布、香味油で、そこに生のコオロギとタマネギ、ごま油を火にかけてペースト状にしたコオロギ油もトッピングされているのだそうです。見えにくいところにもコオロギを使った、とことんまでコオロギにこだわった一杯なんですね。
麺はストレートの中細麺で固さは普通です。濃厚なスープとよく絡みます。
トッピングはコオロギの他に大きな角切りチャーシューともやし、海苔、クラッシュアーモンドが入っています。クラッシュアーモンドの香ばしさが、コオロギの香ばしさとの相乗効果を生んでいます。
田村のコオロギの味噌ラーメンは一見キワモノのようで、一杯のラーメンとしてしっかり完成した一品でした。無理やりコオロギをねじこんでいるというよりは、あくまでラーメンを香ばしくする素材の一つとしてコオロギのポテンシャルを活かしているところが良いですね。それでいて「追いコオロギ」といった、僕のような物好きも満足できるサービスも提供してくれているのも嬉しいポイントでした。
コオロギという食材には癖がなく、美味しく食べられることが分かったのも収穫ですね。あとは虫を食べることへの恐怖心や嫌悪感さえ払拭できれば、食料としてどんどん普及していくのではないかと思います。ビジュアルのインパクトで言うと個人的にはシャコなんかも良い線いってると思うのですが、それでも食物として認識できるのは食べる文化がしっかりと存在するからではないでしょうか。今でこそコオロギはゲテモノのカテゴリーに入るとは思いますが、これから昆虫食が一般的になっていくと、コオロギを見て「活きがよくて旨そうだな」となる日が来るのかもしれません。
なお、コオロギの味噌ラーメンは販売開始の4月21日から約3か月間、すなわち7月頃までの提供を予定しているそうです。気になる方はお早目にお試しください!
参考リンク
徳島県板野郡北島町鯛浜大西108-1
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