大きな駅のホームにはしばしば、立ち食いの麺の店があり、列車の待ち時間にさっと食べることができます。作り置きの駅弁とは一味違った、出来立ての一杯を食べられる喜びや、その牧歌的な味わいとは対照的な、時間制限の緊張感に風情があるように思います。提供メニューに地域性も出やすく、姫路駅ではまねきの「えきそば」、名古屋駅ではきしめんというように、ご当地ならではのものを楽しむことができます。
岡山駅の新幹線上りホームにも立ち食い麺の店があり、ご当地の麺料理を提供しています。その名も「ぶっかけ ふるいち」です。麺でぶっかけと言われて思い浮かぶのは、讃岐うどんのぶっかけうどんです。岡山駅は四国方面へと向かう際の重要な乗換駅なので、駅のホームでも讃岐のぶっかけうどんを提供している…というわけではなく。ふるいちにて提供されているのは、岡山県は倉敷市のソウルフード、倉敷の「ぶっかけうどん」なのです!
倉敷のぶっかけうどん
ぶっかけうどんといえば、麺の上に濃いめのつゆをぶっかけて、薬味やお好みの具材を乗せて食べる手軽なうどんです。はなまるうどんや丸亀製麺といった全国チェーンのうどん店でもお馴染みの、讃岐うどんにおける定番の食べ方です。温めても冷やしても美味しく、季節を問わずヘビーローテーションできるのが嬉しいです。
倉敷のぶっかけうどんも讃岐うどんのぶっかけとスタイルは似ているのですが、細かい部分に個性があります。まず、トッピングが特徴的です。倉敷のぶっかけうどんにはネギ、刻み海苔、天かす、うずら卵の卵黄が乗っています。これをガッとかき混ぜたうえで啜っていくのですが、啜るや否や、倉敷のぶっかけうどんの次なる個性に驚かされます。つゆが讃岐うどんのそれよりも、甘く濃い味わいなのです。
ふるいちは「倉敷のぶっかけうどんを食べられる唯一のチェーン店」です。ひらがなの「ぶ」が大きく描かれた、大きな黄色い看板が目印の店舗を、岡山県南部に11店舗、大阪府に1店舗展開しています。岡山県出身のなまこマンの中の人にとっても馴染み深い店舗であり、金欠だった大学時代にはたまの「ごちそう」として食べていました。

そして、今回訪問したのが、冒頭でも述べた岡山駅の新幹線ホームにある店舗です。法事のために一時実家に帰省していたのですが、岡山から名古屋へ戻る新幹線に乗り込む前に昼食として購入しました。
こちらの店舗では立ち食いもできるのですが、テイクアウトして新幹線車内で食べることもできます。また、食券機の隣にはふるいちの「ぶっかけうどんお土産セット」を買える冷凍自販機もあります。(訪問時には故障中で、お土産は店内にて販売していました。)席を予約していた、東京行きののぞみの発車時刻までは残り20分と、店内で食べるにはやや不安がある微妙な時間だったので、テイクアウトして車内で頂くことにしました。こういうシチュエーションでは冒険せず、手堅い選択肢を選ぶのが30代のやり方です。
なお、食券機は交通系ICなどによるキャッシュレス決済に対応しています。

というわけで、のぞみに乗り込みまして、購入した「きざみぶっかけ」を頂きます!もう、このビジュアルの段階で既に「知ってるぶっかけうどんとちょっと違うぞ!?」となりませんか!?いかにも、これこそがふるいちのぶっかけうどんなのです。
トッピングとして乗っているのは、ネギ、天かす、ゆで卵、かまぼこ、昆布の佃煮、椎茸の煮物、油揚げです。薬味として、わさびも付いてきます。色合いは地味ですが、バラエティに富んだ面々でワクワクします。タレはあらかじめかかっているので、豪快にかき混ぜて啜っていきます!
ああ!これだよこれ!!甘くて濃い感じ!!!派手ではないけれど、落ち着く味!!!!
ふるいちのぶっかけうどんでとにかく特徴的なのは、タレです。甘味と、昆布や節の旨味が強く引き立つ、あと引く味わいの醤油ダレが麺やトッピングによく絡んでいます。うどんという料理はともすれば、さらりと平らげられてしまいがちですが、ふるいちのぶっかけうどんは一口あたりの情報量がとても多く、食後の満足度がとても高いです。それでいて、甘辛い味わいが食欲をダイレクトに刺激するので、ガツガツと食べられます。
かまぼこやゆで卵や佃煮といった、他ではなかなか見かけないトッピングも、ふるいちのうどんにはとてもよく合います。特に佃煮は、甘辛いタレの味わいによく馴染み、なおかつ味わいに旨味をプラスしてくれます。油揚げも分厚いうえに甘いつゆがしっかりと染みているので、食べ応えが十分ですね。
倉敷のぶっかけうどんは、家庭でも作られている料理だといいます。ゆで卵も、かまぼこも、佃煮も、家庭の冷蔵庫に眠っている可能性のあるものです。そう考えると、ふるいちのきざみぶっかけはある意味「家庭で作るぶっかけうどん」を再現した一品であると言えるかもしれません。
いやぁ、改めて食べてみると、美味いもんです。大学時代には苦しい思い出しかありませんが、そんな日々における数少ない癒しの一つが、イオンモール岡山のフードコートで食べるふるいちのうどんだったことを思い出します。思い出が美化されすぎているわけでもなく、久しぶりに食べたふるいちのぶっかけうどんはとても美味しかったです。

デザートに団子が付いてきます。中にあんこが入っており、きなこがまぶされています。食べ終わった容器を袋に片付けようとしたら出てきました。
いやぁ、嬉しいサプライズ!
店員さんの話をよく聞いてなかっただけですよね!
倉敷うどん「ぶっかけ」ふるいち まとめ
讃岐うどんの食べ方の一つとして有名な「ぶっかけうどん」ですが、岡山県倉敷市にも同じく「ぶっかけうどん」と呼ばれるご当地うどんがあります。讃岐うどんのそれとよく似ていますが、特徴的なトッピングや、濃い味のタレなどが特徴的です。
倉敷うどん「ぶっかけ」ふるいちは、そんな倉敷のぶっかけうどんをメニューとして提供しているチェーンのうどん店です。岡山駅の新幹線上り線ホームにも立ち食いの店舗を出店しています。新幹線ホームの店舗では、テイクアウトして新幹線車内で食べることも可能です。
今回頂いた「きざみぶっかけ」は、かまぼこ、佃煮、油揚げといったバラエティに富んだ具材を乗せたぶっかけうどんです。甘辛い味わいと、具材の味わいがよく馴染む、食べ応えのあるいっぱいです。また、ふるいちではぶっかけうどん以外にも、一般的な温かいうどんや、釜揚げうどん、釜玉うどんなども提供しています。
岡山にお越しの際には、皆様もぜひ、一味違う倉敷のぶっかけうどんをお試しください!
ちなみに、ふるいちのぶっかけうどんが生まれたのは「麻雀をしながら食べられるように、ざるうどんのタレと具を麺の上にあらかじめぶっかけた」というエピソードがきっかけなのだとか。なんだか、どこかで聞いたことのある話ですね…。(サンドウィッチ伯爵のエピソード参照)
倉敷うどん「ぶっかけ」ふるいち JR岡山駅新幹線上りホーム店
岡山県岡山市北区駅元町1-1 JR岡山駅 新幹線上り線ホーム
営業時間:9:00~19:00
※訪問時点での情報です。
ふるいちのWebサイトはこちら↓
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