先日、職場の行事の一環で、佐古七番町の国道192号線沿いにある「斎藤酒造場」というところを見学した。斎藤酒造場は、徳島の地酒である清酒「御殿桜」を製造する蔵元だ。
フィンランドからの来客をもてなすための酒蔵見学だったけれど、僕にとっても初めてとなる徳島の蔵元見学だったので、上司からの引率の依頼を二つ返事で引き受けた(笑)
斎藤酒造場では蔵元見学を随時受け付けており、事前に電話予約をして訪問日と時間と人数を伝えたら見学をさせてもらえる。店内に入ると、奥からご主人がやってきて僕たち一行を案内してくれた。
蔵の中にはタンクがたくさん並んでおり、辺りには日本酒の芳醇な香りが漂っている。
訪問日の時点では、日本酒造りの工程はほぼ終わりに近い状態だったようだ。米の発酵はすでに終わっていた。
タンクの中には、米と麹と水を一緒にして発酵させた「もろみ」が仕込まれている。ちなみにこのもろみは僕たちの訪問日の翌日に絞る予定だったらしい。
もろみはこちらの一角で絞る。袋の中にもろみを入れ、それを次々と重ねていく。すると自重でもろみが絞られ、日本酒が出てくるのだとか。
ある程度自重で絞られたら油圧で圧搾し、日本酒を絞りつくす。
このときに袋の中に残る残りかすが「酒粕」だ。ありがたいことに、こちらの酒粕を試食させていただくことができた。
芳醇な香りがとてもすばらしい。味はちょっぴりビターな大人の味だった。
実際に見ることができたのはもろみの圧搾の直前までだったので、これ以降の作業を簡単に紹介します。
搾りたてのお酒は米の細かいかけらなどが残っているので、ここからさらに濾過をしていく必要があります。ちなみに、この工程のときにあえて粗く濾過して沈殿を残したものを「濁り酒」と呼ぶそうです。
濾過の後は火入れと呼ばれる加熱処理を行い、雑菌の繁殖を抑えます。その後貯蔵して熟成させ、アルコール度数調整のために水を加え、最後に再び火入れして瓶に詰めたら完成です。
酒造りの作業風景を拝見した後は、御殿桜等の製品の試飲をさせていただいた!
ラベルの張っていない瓶は絞って間もない日本酒だ。
びっくりするほどフルーティーな香りがふわっと広がってくる。日本酒は普段あまり飲まないけれど、香りが良くきりっとした切れ味もあり、とても美味しかった!
続いては火入れした後の瓶のお酒も頂いた。こちらは絞って間もない日本酒と比較すると水のようにすっきりとした味わいだった。良いお酒のことを「上善如水」などと言ったりするけれど、わかる気がした。
さらに、黒蜜梅酒もしっとりと甘くフルーティーでとても美味しかった。
甘酒も頂いた。粒の残ったタイプで、あっさりとした味わい。写真がピンボケ(笑)
試飲しながら、いろいろなことを教えていただいた。例えばよく聞く「吟醸」や「大吟醸」について。これは原料の米について、玄米を精米してどれだけ削ったか(精米歩合)によって呼び分けられており、玄米から削った残りが吟醸では60%以下、大吟醸では50%以下のものを指しているそうだ。
麹菌のアンプル。最初はここから増やしていくそうだ
食べ物や飲み物を味わうときには、無心で美味しい美味しいと食べるのも楽しいけれど、「これの原料は○○だ」とか、「こういう調理法だな」とか考えながら食べるとより楽しい。今回の酒蔵訪問では、酒蔵のご主人たちが目の前で日本酒造りの様々な知識を教えてくれるので、目の前で日本酒に対する知識をアップデートしながら味わうことができる。それが試飲のお酒をより美味しくしてくれた。
最後は、御殿桜を購入して帰った。芳醇な香りと、すっきりとしたキレのある味わいがやはりたまらない。日本酒のおいしさというのを、初めて知ることができたような気がする。
フィンランドからの来客も非常に満足してくれて、母国へのお土産用にいくつかお酒を購入していた。
ちなみに外国人観光客向けに英語のパンフレットも複数ある。斎藤酒造場も海外からの見学者を多く受け入れているようなので、徳島で外国からの来客をもてなす際には斎藤酒造場でtraditionalな”sake”の製造工程を見学してもらうのも良いと思う。
斎藤酒造場では御殿桜以外にも様々なお酒があるので、これからも時々買って飲みたいと思う(笑)
あんず酒もあります!
徳島県徳島市佐古七番町7-1
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