この記事は2023年1月16日にリライト致しました!
皆様は徳島の名物と言われて、何を思い浮かべますか?
おそらくほとんどの方が「すだち」や「徳島ラーメン」を思い浮かべるのではないかと思います。「たらいうどん」「フィッシュカツ」「竹ちくわ」「マンマローザ」などが思い浮かぶ方は、きっと徳島通でしょう。
では、「イリカス」はどうでしょうか?
徳島県外の方でこれを知っている方は少ないと思いますが、無理もありません。土産物屋やスーパーマーケットなどでは売っていないからです。当記事初版執筆時の2019年時点では、正真正銘の隠れた名物でした。
近年はイリカスの知名度も上がってきて、徳島県内の飲食店でも提供する場所が増えてきました。例えば、道の駅いたののフードコート「そらいろ」ではイリカスを使用した中華まんが販売されています。
はてなブログ時代には、当ブログの中でもこの「イリカス」を紹介する記事がダントツで多いアクセスを集めており、徳島のイリカスの普及に微力ながらお役に立てたという自負があったりするのですが(笑) 今回は4年ぶりに、イリカスについて改めて深掘りしていきたいと思います!
そもそもイリカスとは?
イリカスというのは、牛や豚の内臓を炒ったもののことを指します。要するに「煎りかす」ということです。
他の地域で「油かす(大阪)」や「せんじがら(広島)」と呼ばれるものとよく似ています。ただし、広島のせんじがらと比べるとイリカスはもう少しウェットといいますか、ガチガチになるほど干されてはいない印象です。
かつては内臓や脂身を加熱して油脂を取り出した後の残りかすのことを指して「イリカス」と呼んでいたようですが、上のチラシにも書いてあるように、今現在商品として流通しているのは、腸や肺といった内臓を揚げたものが一般的なようです。
脂肪に富んだ内臓に火を入れると、油が染み出てきます。この染み出てきた自らの脂で内臓が良い感じに揚がり、歯ごたえ抜群に仕上がります。
徳島県では、普段から食べられているというほどでもないですが、郷土の味として馴染んでいるようで、お祭りの屋台などでもしばしば提供されることがあります。
どうやって食べるの?
一般的に推奨される美味しい食べ方は素焼きです。イリカスのオンライン販売も行っている、製造販売業者のイリカス工房さんに直接美味しい食べ方を聞いてみたところ、やはり「ホットプレート等で焼いて食べると美味しい」という答えが返ってきました。
調理方法はとても簡単です。熱したフライパンやホットプレートに乗せて火を通します。なまこマンの中の人はホットプレートを持っていないので、フライパンでやっています。
油はイリカスから出てくるので、フライパンに引く必要はありません。染み出した油が、だんだんとイリカスの表面でジュウジュウ、パチパチと音を立てて弾けだします。
両面に焼き色がつき、しっかりと火が通ったら塩コショウで味をつけていただきます!
火が通ると、薄いところは水分が飛んでパリッと仕上がり、厚いところはくにゃっとした弾力が楽しめます。
色が白いものは腸で、脂が乗り、歯応えのある、いわゆる「ホルモン」をさらに濃縮させたような味わいがあります。色が黒いものは肺で、焼肉などでも食べる機会の少ない部位ではありますが、食べてみるとプルクニッとした食感がとても面白いです。
「動物でっせ!」と強く主張してくるクセはあるものの、楽しい食感と、噛めば噛むほど出てくるうまみがとても癖になります。以前別のブログにて、イリカスの味わいについて「クセがあるけどクセになる」と評しているのを見たことがありましたが、言い得て妙な表現だと思います。
徳島に居た頃には、イリカスを野菜炒めにして食べていました。
イリカスに火を通して塩コショウで味付けをしたら、一旦フライパンから避けておきます。そしてイリカスから出た油にニンニクを加えて香りを出してから、カット野菜(主にキャベツやもやし)を炒め、最後にイリカスを戻して塩コショウで味を調えます。
野菜がイリカスの油を受け止めてくれて、バランスの良い味わいに仕上がります。ご飯のおかずにもぴったりだし、お酒のおつまみとしても良い感じです。
イリカス野菜炒めのレシピはこちらの記事にて詳細に紹介しています!
あるいは、鍋に入れてもつ鍋風にして食べてみても良い感じです。
イリカスは既に火が通っているものなので、さっと火を通して頂けます。脂がスープに溶けて、野性味が増しますし、煮込んだイリカスも噛みしめると旨味が染み出しますよ。
お酒のアテや、ご飯のお供として楽しんでみてください。
どこで買えるの?
徳島県内の精肉店で取り扱っている場合があります。僕は徳島に住んでいた頃に、鮎喰町の「肉勢」という肉屋にて購入していました。肉勢では牛と豚の2種類のイリカスを取り扱っており、徳島に在住していた2021年当時、牛イリカスは100gあたり500円、豚イリカスは100gあたり320円にて販売していました1。
徳島以外の地域にお住いの方で、イリカスに興味のある方にも朗報があります。近年は四国の精肉店がイリカスのオンライン販売を行っており、例えば「阿波牛の藤原」や「阿波の頂」が楽天市場にて牛イリカスを販売しています。また、阿南市のイリカス製造・販売業者「イリカス工房」は各種SNSでのイリカスに関する情報発信や、他県へのイリカスの移動販売など、イリカスの普及活動を積極的に行っており、同じくオンライン販売(ecサイトではなく、Twitterやメールでの注文販売)も実施しています。
普及活動の甲斐あって、徳島県外にもイリカスファンが徐々に増えつつあるようです。
イリカス工房では初回注文時に、イリカスを紹介するチラシと、オリジナルのステッカーも同梱してくれます!
もちろん、仙台からでも注文可能です。
この記事を読んで興味を持ってくださった方は、徳島の精肉店やオンラインショップなどでイリカスを購入して、ぜひともディープな徳島の味を楽しんでみてください!
楽天市場でも購入可能です。
(おまけ)イリカス食べ比べ
僕自身も今まで食べたことがあるのは肉勢のイリカスと、イリカス工房のイリカスだけなのですが、販売元によって加工の仕方が違うのか、味の印象が違っていたのが興味深かったです。
肉勢のイリカスは脂が多めで、加熱しているとかなりの脂が染み出してきて、自らの脂でカリッと揚がります。かなりオイリーでボリューミーだったのが印象的でした。
一方で、イリカス工房のイリカスは脂分が比較的少なめで、加熱するとホルモン由来の「ジョキッ!」とした歯応えを強く感じられるようになります。まるで貝柱を食べているかのような食感の強さでした。
かなり主観的な食レポになってしまいましたが(笑) 皆様が好みのイリカスと出会うための参考になりましたら幸いです。
ちなみにこの写真を過去にTwtiterに上げたら、イリカス工房さんから「切らずにそのまま食べたんですね!」と驚かれました(笑)
イリカス工房さんのイリカスは一つ一つが大きめなので、一口サイズに切ってから焼きましょう!
イリカス関連記事・参考リンク
仲良くさせて頂いている徳島ブロガー「徳嶋ダイスケ」さんのブログのイリカスレビューです。
Twitter: @takerunbox
Instagram: @takerun_irikasu
イリカス製造販売業者「イリカス工房」さんのSNSアカウントです。メールやSNSへのDMにてイリカスの注文が可能です。
徳島のもう一つの隠れたソウルフード「肉ようかん」に関する記事です。当ブログと、徳嶋ダイスケさんのブログの記事へのリンクです。同じく徳島県内の精肉店にて、主に冬場に購入可能です。
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