2021年3月20日。阿波おどり会館に、阿佐海岸鉄道のDMVがやってきました!
なまこ隊長。DMVとは何なのでしょうか。
道路と線路の両方を走れる、デュアル・モード・ビークルのことだよ!
阿波おどり会館で開催された「四国の右下展」
阿波おどり会館では3月31日までの期間限定で「四国の右下」企画展を実施しています。徳島県の南部は日本地図で文字通り四国の右下に位置していることから「四国の右下」と銘打って町おこしをしています。
そんな四国の右下にある、海陽町の阿波海南駅と高知県東洋町の甲浦駅を結ぶ第三セクターの阿佐海岸鉄道にて、世界で初めてDMVが実装されます1。冒頭でも述べた通り、DMVというのは道路と線路の両方を走ることのできる乗り物です。
今回はそのお披露目として、阿波おどり会館に本物のDMVがやってきました!
道路と線路の両方を走れるDMV
今回阿波おどり会館にやってきたDMVは、2号車「すだちの風」。徳島県をイメージした、爽やかな緑色の車体です。
阿佐海岸鉄道のDMVには他にも青色の1号車「未来への波乗り」と、赤色の3号車「阿佐海岸維新」があります。
見た目はボンネットバスのようなDMVですが、道路と鉄道の両方を走るために、ゴムタイヤに加えて線路を走るための鉄車輪も付いています。
線路を走るときにはレールをガイドする前後の鉄車輪が展開されます。このとき、前輪(前側のゴムタイヤ)は宙に浮き、後輪(後ろ側のゴムタイヤ)はレールと接して動力源となります。
道路走行モードと軌道走行モードを切り替えるためには「モードインターチェンジ」という専用の施設を経由する必要があるので、DMVはどこの線路でも自由に走れるというわけではありません。走れるのはあくまでDMV乗り入れ用の設備が設けられた軌道だけです。
せっかくなのでDMVの車内も見せてもらいました。定員はおよそ20名ですかね。マイクロバスを改造して作られているので、あまり広くはありません。
運転席には、道路と線路の両方を走るための設備が整えられていました。道路モードと鉄道モードの切り替え用制御装置や、鉄道用の信号設備などなど。コックピットみたいでかっこいいですね。
イベントに来ていた阿佐海岸鉄道のスタッフさんたちから、DMVに関する興味深い色々な話を聞くことができました。
・DMVは元々、JR北海道で研究が進められていたがとん挫した。それが阿佐海岸鉄道で実装されることになった。
赤字路線の救済策として、2000年代よりJR北海道にて本格的にDMVの開発が進められてきました。試験運転を重ねてブラッシュアップを重ね、法整備や必要な手続きなども進めて実装まであと一歩というところまでこぎつけましたが、 当時(2014年頃)のJR北海道で頻発していた安全管理に関わる問題の解決および、開業の迫った北海道新幹線に経営資源を集中するためにDMV事業を凍結することになりました。
阿佐海岸鉄道(阿佐東線)は全線高架であることから踏切がなく、また分岐もないのでDMVの脱線リスクが少ないことや、利用客の数から輸送量不足が問題になりにくい点などでDMVを導入しやすい環境だったようで、実装が決まったそうです。
・モードインターチェンジへの一般車両の誤侵入は起こらないように設計されている。
DMVが道路から線路に入るための施設であるモードインターチェンジは普段ゲートで閉ざされていて、車内からの操作もしくはセンサーでの感知によりゲートが開く仕組みになっているようです。そのため線路に一般車両が誤侵入することがないようになっています。
・線路上を走るときにはハンドルが固定される。
線路上を走るときには後輪が駆動輪となり、鉄の車輪がレールに沿ってガイドします。鉄道モードに切り替えるとハンドルが固定され、線路上でもアクセルとブレーキによって走行するとのことです。
・DMVは連結して走ることができない。
法律上、DMV2台以上を連結して運行することはできないそうです。ただし故障時に牽引できるように連結機能自体は付いているそうです。
甲浦駅から室戸にかけては交通インフラが脆弱な地域でもあり、DMVはその救済も兼ねています。また「道路と線路の両方を走れる世界で唯一の車両」というのはやはり非常に珍しく、観光資源としても期待されています。
当日阿波おどり会館に来ていた阿佐海岸鉄道のスタッフの方々のどこか誇らしげな姿も印象に残りました。新たな試みで地域を盛り上げていきたいという気概を感じることができました。
DMVが四国の右下を盛り上げてくれることに、期待したいですね!
そして、いろいろなお話を聞かせてくださった阿佐海岸鉄道のスタッフの皆様。本当にありがとうございました!
DMVの運行が始まったらぜひ乗りに行ってみたいですね。阿波海南駅までロードバイクで行きましょう。
と、徳島市から片道70km以上ありまっせ…
(おまけ)DMVペーパークラフト
阿佐海岸鉄道のスタッフの方からはお土産としてパンフレットと一緒に、DMVのペーパークラフトを頂きました。
このペーパークラフト、簡単に作れる割にはなかなか本格的なんです。
特徴的なフォルムが余すことなく再現されていますが、本格的なのはそれだけではありません。
車体の底面にあるパーツを引っ張り出すと、実際のDMVと同じように鉄車輪が出てきます!
そしてこのように、鉄道モードとしてディスプレイすることもできるんです!
実物と同じように前輪が浮き上がり、後輪は接地しているという芸の細かさ。実物のDMVを見て、DMVのことが大好きになっていた直後だったので、このペーパークラフトの完成度にはテンションが上がりました!
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