自動車はお好きでしょうか。近年は「若者の車離れ」が叫ばれつつも、特に地方では生活に欠かせない足だったりして、好き嫌い以前に我々の生活からは切っても切り離せない存在です。
僕は子供の頃に自動車が大好きでした。本当は今でも好きなのですが、残念ながら自家用車は持てていません(いろいろと事情はありますが)。男性は特に、自動車が好きという方は多いと思いますし、子供の頃に好きだったという人も含めたら、男子はおろか女子も含めて9割以上の人は車が好きだったと言っても過言ではないかもしれません。
そんな車好きの男子や女子だった皆様に朗報です。愛知県長久手市にある「トヨタ博物館」には、古今東西の世界の名車の数々が展示されています。カッコよく、かわいく、スタイリッシュな展示自動車の数々を見ていると、自動車が大好きだったあの頃の気分がよみがえること間違いなしです!
古今東西の名車が揃う「クルマ館」
トヨタ博物館は言わずと知れた世界的自動車企業のトヨタ自動車が、創立50周年を記念し1989年に設立した博物館です。
入口ではレトロなフォルムのボンネットバスが出迎えてくれます。いつごろの車両なのでしょうか。古いものだとは思いますがかなり綺麗に保存されています。
入場料を支払い、早速入館します。トヨタ博物館はクルマ館と文化館の2つのエリアから構成されており、最初はクルマ館を回ります。
クルマ館では、自動車が生まれ、量産化され始めた19世紀から、自動車産業が円熟し現代に至るまでの自動車産業の歴史を紹介しつつ、各時代の自動車の数々を展示しています。順路に沿って進んでいくと、自動車産業の歴史を辿ることができます。
動力に人間や動物を必要とせず、人間や荷物を載せて自走することのできる自動車は、18世紀のフランスにて生まれました。動力源としてはガソリンのみならず、蒸気機関と電気もあったようです。この時代から電気自動車があったとは驚きです。この3つの中でも、ガソリン車の技術革新が劇的に進んだことから、ガソリン車が後に自動車の中心となっていきました。
その後、基礎的な技術や量産体制が整い、自動車は大衆のものになりました。
日本では関東大震災で既存の公共交通が崩壊したのをきっかけに、アメリカから自動車が導入されました。その当時はアメリカ車が日本国内の自動車市場のシェアのほとんどを占めていましたが、後に国策として国産自動車メーカーが育成されるようになりました。このときに育成された2つの自動車メーカーこそが、現在の日産自動車とトヨタ自動車です。
第二次世界大戦の際には乗用車は生産されなくなりましたが、戦後には日本のみならず、アメリカ、ドイツ等各国の自動車産業が発達していきました。敗戦国の日本やドイツは自動車産業が復興のための原動力になりましたし、アメリカではヨーロッパのスポーツカーが取り入れられ、独自の進化を遂げていきました。
そして、経済成長につれて自家用車はかなり普及するようになりました。モータリゼーションも進み、自動車に対する需要も多様化する中で、デザイン、機能、環境対策等の技術が進化していき、現在は持続可能な社会の実現のためにハイブリッド車や電気自動車等が社会実装されていきました。
ていうか、御託を並べるのはいいんだ!
自動車産業の歴史を最初から最後までしっかり語っておいてそれはないですよ!
時代に応じて様々な変化をしてきた自動車産業の歴史も興味深いものでしたが、それ以上に目を引くのは、各時代を代表するピカピカの車の数々です!もちろん中にはレプリカもありますが、カッコよく、かわいく、スタイリッシュな名車たちに、思わず目が釘付けになってしまいました。
キャデラック シリーズ 452A!レトロな外観の中に豪華さと高級感があるね!
戦時中のトヨタKC型トラックは、鋼材を節約するために荷台が木製なんだね!
メルセデスベンツ 300 SL クーペのガルウィング!かっこいいぞ!!
オート三輪ダイハツミゼット!かわいいね!
トヨタ2000GTにホンダNSXは、現代でも通じるスポーティーなカッコよさだよ!!
ウォォォォ!テスラ!!憧れる!!!
車にそこまで詳しくなくても、いろいろなカッコいい車やかわいい車を見るのは楽しいですね。
自動車文化の資料が揃う「文化館」
クルマ館を一通り見終えた後は、渡り廊下を通って別棟の文化館へと向かいます。
文化館の入口には企画展示室があります。訪問時(2023年11月下旬)にはSDGs展が開催されていました。自動車の排気ガスが地球環境に与える悪影響については今更言うまでもありませんが、だからこそ自動車や自動車産業が今後も「持続可能」となるように、環境に配慮した試みは常に実施されてきました。
こちらは1992年のドラえもん映画(のび太とブリキの迷宮)公開に合わせて作られたドラえもんのソーラーカー「ソラえもん号」です。ソーラーカーのレースに出走したこともあり、なんと10日で3000kmもの距離を走行したとのことです!30年前の時点でソーラーカーの技術はここまでのものになっていたのですね。とはいえ現在ソーラーカーが実用化されていないのは、ソーラーパネルの搭載や、夜間の動力源の問題があるからなのでしょうが。ソーラーカーといえば鉄腕DASHの「だん吉」を思い出します。夜にバッテリーが少なくなってきたときに、少しでも前に進ませようと、ドライバーと助手席のメンバーが上半身をバタバタさせて悪あがきをしていたのを今でも覚えています(笑)
こちらは1970年の第17回東京モーターショーにトヨタが出展した三輪電気自動車「コミューター」です。買い物や通勤といった近距離移動用途に使えるマイクロカーです。現代の電気自動車よりも、より近距離での使用を意識したものと思われます。セブンイレブンの配達車両に使われている電気自動車「トヨタ コムス」がこのコミューターのコンセプトに近いものでしょうか。
このランドクルーザーは、天ぷら油等の廃油より精製されたバイオディーゼルによって走行する車両です。なかなかパワフルで、ダカールラリーでも好成績を収めたようです。バイオディーゼルは従来の化石燃料よりも環境に与える負荷が少ないことから注目されています。パワーも出るようで、既にバイオディーゼル燃料を使用したバスが社会実装されています。とはいえ食料との競合や精製コストの高さ等、広く実装するにはまだ課題もあるようですが。
おそらく自動車がSFチックな「空を飛ぶ自動車」になるにはまだまだ時間がかかりそうですし、自動車の時代はまだ続くでしょう。地球の環境に負荷をかけないように自動車も進化していく必要があるわけです。この展示で、自動車産業が未来に向けて行っている試みの数々が改めてよくわかりました。
こちらは常設展のクルマ文化資料室です。自動車は19世紀から現在に至るまで、人間の生活の側にあり続けた存在です。ゆえに、自動車に付随して様々な文化が発展していきました。クルマ文化資料室では、そんな自動車から生まれた文化に関連する物品を展示しています。
ミニカーは特に、自動車文化の産物の代表的な存在です。昔はブリキのおもちゃでしたが、自動車の技術の発展と時を同じくして、ミニカーの素材もダイキャスト等に移り変わっていったという話が印象的でした。
子供がどうして車が好きなのか、一つ思い当たることがあります。ミニカー等の車のおもちゃは「車輪があって動かせる」ものなので、それが楽しくてお気に入りになりやすいんですよね。そこから車を好きになります。僕も幼い頃にはトミカが大好きでした。
車に関連して、レースゲームやトランスフォーマーも展示されています。トランスフォーマーなんて、車がカッコいいロボットになるのだから、どっちも大好きな子供にしてみれば嬉ションものだと思いますよ!
こちらは各時代の自動車のカタログです。当然といえば当然ですが、昔からこういうものがあったわけなのですね!遠い昔においても現代と同じく、カタログを見て、愛車になるかもしれない車の数々に胸をときめかせることがあったのでしょうか。ゲームの説明書のみならず、現在は自動車のカタログも電子化していると聞きます。しかし、紙カタログにはわくわくすることがたくさん書いてありますし、自動車の紙カタログに関しては特に、掲載されている自動車の写真がどれもカッコよくてハイクオリティなんですよね!物としてとても素晴らしいし、無くなっていくのは少し寂しい気がします。
クルマ文化資料室には他にも、自動車や交通がテーマの切手、自動車に取り付けるエンブレムやマスコット、自動車広告、自動車のプラモデル、自動車をテーマにした漫画作品等、とにかく自動車に関連したあらゆるものが保管されています。自動車が生活のすぐ近くにある身近な存在であることを改めて感じられました。そして、何気ないものもきちんと保存しておくと、立派な「文化を語る資料」になることもわかりました。
トヨタ博物館のお土産&グルメを満喫!
一通りの見学を終えたところで、今度はお土産やグルメを見ていきます!
文化館1階には、ミュージアムショップとカフェがあります。
ミュージアムショップでは博物館ガイドブックやオリジナルグッズ等のここならではのお土産や、名古屋土産・愛知土産を購入可能です。シートベルトの端材を使って作ったポーチや、オリジナルTシャツ等、気になるお土産が多数ありましたが、今回はこちらを購入しました!
トヨタ博物館オリジナルのスパナカトラリーです。上からマドラー、スプーン、フォークとなっています(ナイフも販売されています)。柄の部分がスパナ(むろん工具としては使えません)になっているだけでなく「トヨタ博物館」の刻印も入っています。
クルマ館1階にはミュージアムレストラン「AVIEW」があります。丁度お昼時だったので、昼食をとることにしました。お客さんがかなり入っていました。
メニューは洋食系を中心に様々なものが揃っていますが、今回は「トヨタ博物館プレミアムビーフカレー」を注文しました(辛口、税込1210円)。見て下さい!ご飯が車の形をしていますよ!思わず男の子に戻っちゃいました!
早速一口頂いてみます。ルーはどろっとしていますね。
旨味が…!旨味がすごい!!
トヨタ博物館のカレーは、とても旨いです!どろっとしたルーに、牛肉の旨味と豊かな香りとがある欧風カレーです。旨味、酸味、甘味、辛味が折り重なった本格的な味わいで、とても美味しかったです!今回注文したのは辛口でしたが、辛さはしっかりと主張しつつも決して辛すぎない絶妙なバランスでした。
ちなみに、トヨタ博物館のカレーはレトルトカレー化もされており、車の描かれた箱に入って販売されています。
トヨタ博物館 まとめ
トヨタ博物館は愛知県長久手市の、名古屋市と豊田市とを結ぶ愛知県道6号線(力石名古屋線)沿いにあります。公共交通機関だと、地下鉄東山線藤が丘駅からリニモ(愛知高速交通東部丘陵線)に乗り、芸大通駅で降車することでアクセスが可能なほか、名古屋駅近くの名鉄バスセンターからはトヨタ博物館が終点の路線バスも運行されています。自家用車でのアクセスの場合も広い無料駐車場があります。
館内には古今東西の自動車や、自動車文化に関連する様々な資料が収蔵されています。見ているだけで自動車が大好きだった子供の頃を思い出しました。
ミュージアムショップには名古屋土産やトヨタ博物館限定グッズが数多く揃っています。また、ミュージアムレストランの名物はトヨタ博物館プレミアムビーフカレーで、様々な旨味が折り重なった一品です。
通常の見学以外にも、スタッフが同行して解説してくれるガイドツアー(1日2回)が開催されているほか、定期的にイベントも開催されており、密度濃く楽しむことができます。
一般大人の入場料は1200円となっていますが、学生証やJAF会員証の提示、トヨタTS3カードでの支払い等で割引が適用されます。割引対応となる会員証やチケット類はかなり豊富なので、詳しくは公式サイトの入場料のページをご覧下さい。
車好きな子供はもちろん、かつて車好きな子供だった大人も楽しめる施設です。家族連れでの訪問客も多かったですが、お子様だけでなく親御さんも楽しそうな姿が印象的でしたね。
この記事だけではすべてを紹介しきれないぐらい、見どころ満載の施設です!皆様もぜひ実際に行って楽しんでください!
トヨタ博物館
愛知県長久手市横道41-100
営業時間:9:30~17:00
休館日:月曜日、年末年始
トヨタ博物館のWebサイトはこちら↓
コメント
トヨタ以外のクラッシックかーも展示しているんですね。面白そう。愛知県に行く機会はなかなか無いですが、夫も車好きでトヨタ車に乗っているので行ってみたいな。
コメントありがとうございます。
トヨタ博物館はトヨタに限らず、自動車産業と自動車文化の歴史全般を展示しています。車に詳しくなくても、各時代のピカピカの展示車両にはテンションが上がります。
車がお好きでしたら絶対に満足できる施設なので、愛知旅行の行き先の選択肢にぜひどうぞ!
名古屋駅の名鉄バスセンターから直通の路線バスもあるので、名古屋からのアクセスも悪くはありませんし。