新型コロナウイルスに対する警戒が薄まって久しいです。未知の恐ろしい病気だと思われていたCOVID-19も、今では「たちの悪い風邪」程度に思われている気がします(あくまで自分の体感)。COVID-19が無くなったわけではないのですが、2023年に第5類感染症に移行してからは日ごとの都道府県別の感染者数の集計がされなくなりました。マスクを付けない人も増え、人の集まるイベントも再開され、世の中はかなり「コロナ禍前」に戻った感じがします。
世の中の警戒が薄まったとはいえ、やはりCOVID-19にはかかりたくないなぁと思っていたのですが、昨年、僕もとうとう感染してしまいました。今日日「もうコロナにかかったよ」という方も多いとは思いますが、かかったときのことを振り返ってみたいと思います。
結論から言うと、厳密な隔離療養や、煩雑な届け出の必要がなくなり、初期よりは楽なのだと思いますが「ただの風邪」と言ってしまうにはしんどすぎる感染症でした。
今回の記事はあくまで僕自身の体験に基づくものであり、全てのCOVID-19症例がこのように推移するわけではありません。あくまで30代男性の軽症症例の一例としてご覧下さい。どちらかというと、独身男性の療養生活のリアルを伝えることに重きを置いています。
なまこマンのCOVID-19 5日奮闘記
1日目(2023/10/29)おっ、風邪か?
その日は非常勤の仕事が休みで、僕は日帰り温泉施設にてだらだらと優雅な休日を過ごしていたのでした。サウナと岩盤浴でしっかりと汗をかき、サウナ飯のチキンカツカレーも食べました。いつもと変わらない休日だったのですが、強いて違和感を挙げるとしたら、心なしかくしゃみがよく出たことでした。花粉症の時期でもないのに、結構な頻度でくしゃみが出るのです。
これはもしかして、風邪をひいたかな?
だとすると長居するのも良くないと思ったので、着替えて帰宅し、熱を測ってみたところ、37℃でした。僕の平熱は35℃台後半から36℃なので、これは微熱が出ていると言って良いでしょう。市販薬を飲み、翌日は月曜日だったため、熱が下がることを祈りながら床についたのでした。
2日目(2023/10/30)COVID-19と診断
起床しても、発熱がよくなった感覚はありません。それどころか、温度は決して低くないのに、空気が肌に鋭く突き刺さるような寒気を覚えます。普段はめったに熱を出さないのですが、こういう感覚を覚えたときには、決まって熱が上がっています。なので熱を測ってみると、38.5℃ありました。
おっと。これは出勤できませんねぇ… 職場に上司が出勤してくるにはまだ早い時間だったので、まずは名古屋市の受診・健康相談ダイヤル1に連絡することにしました。
発熱相談ダイヤルにはすんなりと繋がりました。本来ならかかりつけの医療機関に診てもらうのがスムーズなようですが、あいにく当時は内科や耳鼻科にかかっていませんでした。なので、居住地に近い発熱外来のある病院を紹介してもらいました。
続いて、発熱相談ダイヤルより紹介された最寄りの発熱外来に受診予約をしました。病院のホームページよりオンライン問診に回答した上で、午前の診療枠が終了した12時過ぎに受診するよう指示があったので、安静にして待つことにしました。
こうなってくると当然出勤はできません。最後に職場に連絡をしました。インフルエンザやCOVID-19の場合は有休を消費せず療養休暇が認められるとのことだったので、診断結果が明らかになったらまた連絡するようにとの指示を受けました。
とりあえず、再び市販薬を飲み、布団に横になりながら安静に過ごします。もっとも、飲んだのは良いものの、あまり効いていない気がしました。
お昼が近づいてきたとき、病院から受診の連絡がきました。一応徒歩圏内の病院だったため、徒歩で向かうことにしたのですが、まあこれが大変でした。体がとても重いのです。いつも何事も無く歩く距離が、無限に遠く思えました。
病院に到着し、午前の業務が終了して検査をしてもらえるのを待っていたのですが、倦怠感がひどく、座っているだけでも気が遠くなりそうでした。道中で水を買っておけばよかった、と思いながら、なんとか意識を保ち続けました。
ようやく診察室に呼ばれ、まずはインフルエンザの検査を受けます。というのも、僕はこの時点ではインフルエンザに感染したと思っていたのです。症状はくしゃみと黄色い鼻水と発熱だけで、咳や肺の症状は一切ありませんでした。
しかし、インフルエンザは陰性でした。
じゃあ、コロナのほうですかね…
再び鼻の奥に長い棒を突っ込み、検体を採取して今度はCOVID-19の抗原を検査します。結果は陽性でした。
COVID-19が第5類感染症になったことで、自治体からの救援物資の配給や特別な隔離、酸素飽和度の計測が不必要になった反面、療養は全て自力で行う必要があります。良くも悪くもほったらかしです。
インフルエンザと違い、COVID-19には特効薬がありません。一般的なかぜと同じように、対症療法にて対処する必要があります。一応、発病して3日以内に服用すると症状を抑えられる新薬(ゾコーバ)があるそうなのですが、当時は保険がきかずまあまあ高額とのことだったので、給料日前だったこともあり断念しました(笑)
処方されたのは鼻づまりをとるカルボシステイン錠、体を温める葛根湯、喉の痛みを抑えるトラネキサム酸カプセル、咳を鎮めるデキストロメトルファン臭化水素酸塩錠、解熱鎮痛剤のロキソプロフェンナトリウム錠でした。
COVID-19だとわかりましたが、その時の症状は発熱と鼻水、鼻づまりのみでした。ということは、これから咳や嗅覚、味覚の鈍化といった症状が出てくるのでしょうか。
一応、隔離は強制されるものではなく自主的なものになるのですが、11月4日までの6日間の隔離を言い渡されました。どうやって過ごそうかと思いつつも、とりあえず処方薬を飲んで体を休めることにしたのでした。
解熱薬を飲んでも熱は高かったです。いつの間にか、39℃まで上がっていました。汗の量も多いし、寒気で肌が敏感になって、なかなか眠れず困りました。
3日目(2023/10/31)倦怠感は改善したが、肺のほうに…
それでもどうにか眠ったら、倦怠感は前日よりも落ち着きました。ただし発熱は継続しており、未だに38℃ありました。
さらに、それまでは鼻からのどにかけて存在していた痰や鼻水のようなものが、なんだか喉の下側、要するに気管のほうに回ってきた感じがしました。
病院にかかったときには咳の「せ」の字も無かったので、もしかしたら気管支や肺の症状を起こさずに乗り切れるのではないかと淡い期待をしていましたが、どうやらそういうわけにはいかなさそうです。
この日の熱のピークは夕方でしたが、夜にはかなり下がりました。
4日目(2023/11/1)とうとう味覚と嗅覚が…
眠れない原因だった熱も落ち着いたおかげでぐっすり眠ることができ、起きたときには熱はすっかり下がっていました。
一方で、最初期からあった鼻づまりと、前日に覚えた気管のむずむずとするような違和感は残存しています。気管の違和感は、まだ咳に至るものではありませんが「これがひどくなったら咳が出るんだろうな」と思えるようなものでした。
熱が高く、一番辛かった時期を乗り越え、あとは療養生活も消化試合かと思っていたところで、ついに事件が起こります。
いつものように冷蔵庫の烏龍茶を飲んだのですが、なんだか妙に味が薄い気がするのです。
おや。これはとうとう嗅覚障害が来ましたか…
試しににんにくの瓶を開けて、匂いを嗅いでみました。いつもなら蓋を開けた瞬間に旨そうな匂いが漂ってくるはずなのですが、瓶の口にかなり鼻を近づけても匂いがほとんどわかりません!これは確定ですね。一番避けたかった症状でしたが「鼻づまりで匂いが分からなくなるんじゃなくて、匂いそのものを感じなくなるんだな」と妙に冷静に分析している自分がいました。とはいえ、嗅覚はあくまで「鈍くなった」程度であり、それこそ刻みにんにくのような強い匂いは感じることができます。
なお、ダメージを受けたのは嗅覚のみで、味覚は無事でした。もっとも、嗅覚が鈍っているので必然的に味も感じにくいのですが。
嗅覚症状が出てきて「いよいよコロナらしくなってきたな」と思いましたが、お昼頃にはとうとう咳まで出るようになってきました。朝に胸に感じていたむずむずとした違和感が、咳として出てくるようになった感じです。薬が効いているおかげで「咳が止まらない」ということはありませんでした。
その後、咳が少しずつ出るようになってきました。夜には多少の寝苦しさを感じる程度には咳き込みました。
5日目(2023/11/2)9割方復活
寝て起きて、鼻づまりも気管支のむずむず感も9割方改善しました。咳こそ多少残ったものの、痰の絡んだ咳というよりは気管支が敏感になったことで誘発される咳といった雰囲気です。匂いの感じ方も前日より改善しました。
睡眠は体力を回復させてくれるのだなと改めて実感しました。眠って起きる毎に体調が良くなっている感じがするので、復活まであと少しだなと思いました。
咳止めを飲み終えたので咳は多少気になりますが、深呼吸ができるし息苦しさも感じません。
ちなみに、当時89kg寸前にまで戻ってしまった体重は、コロナとの闘病の間に86kgまで下がっていました。
11月3日には咳と嗅覚障害が僅かに残っていたものの、鼻づまりもすっかり治りました。そして、自主隔離療養期間を終え、数日もすれば咳も収まり、嗅覚も元通りになりました。こうして僕のCOVID-19との闘病は終わりを告げたのでした。
どこでもらったんだろう?
潜伏期間を2週間と仮定すると、感染したのは10月15日頃と考えられます。
丁度、非常勤の仕事に出勤するために名古屋駅を利用した日です。名古屋駅といえば、平日も休日も莫大な人通りのあるターミナル駅なので、ここで拾ってきた可能性があります。
前述の通り、コロナへの警戒心が薄まっていました。僕も例に漏れず、すっかりマスクをしなくなったんですよね…
ネットスーパーとUber EATSが便利でした
突然熱を出し、療養のため外に出られなくなったことで、僕は家庭に「ローリングストック」をしていなかったことを後悔しました。ローリングストックとは、普段使いの水やレトルト食品等を少し多めに買っておき、食べたり使ったりした分を新しく買い足していくことで、常に一定量以上をキープする備蓄方法です。
冷蔵庫は空っぽで、熱が出たときに飲み食いできる物もありませんでした。ベタですが水やスポーツドリンクの備蓄は必須ですね。
この非常事態にとても便利だったのが、ネットスーパーでした。「外に買い物に出られないのなら、必要なものを届けてもらおう」という発想です。
ネットスーパーなら生鮮食品も日配品も雑貨も一通り揃ううえに、翌日には届くので、我が家のストック不足を補うことができました。確実に在宅しているので、確実に受け取ることもできますしね(笑)
というわけで、食事は主にネットスーパーで購入したものを食べていました。熱が高くしんどかった時にはヨーグルトやゼリー飲料を、熱が下がってからは肉と野菜で簡単な鍋を作って食べました。幸いにも食欲はあったので、可能ならなるべくいつも通りの食事をしました。
ネットスーパーも比較的速やかに届きますが、さらに急いでいる時にはUber EATSが便利でした。
Uber EATSって、なにも飲食店のデリバリーだけじゃないんですよ。スーパーマーケットで買い物代行もしてくれます。まあ、場合によってはスーパーに在庫が無くて、欲しいものが全部揃わないこともあったりするのですが。
もちろん、Uber EATSはネットスーパーより割高ではあるのですが、どんな時間帯でも誰かしらが反応してくれるのが心強いです。熱の高かった発症1日目に、水とヨーグルトを届けに来てくれた配達員さんは後光が差して見えましたね…
かからないに越したことは無いですね
僕は運良く味覚・嗅覚異常や咳といった後遺症を残さずに完治させられましたが、COVID-19そのものよりもむしろ後遺症に悩んでいる方も知り合いに何人かいます。
感染力を思うと、人生のどこかでいつかかかってしまうものかもしれませんが、結局かからないにこしたことはありません。人の集まる場所ではマスクを使用する、アルコールや石鹸での手指消毒を徹底する等、基本的な対策はこれからも大事でしょう。インフルエンザと違って、季節性があるわけではないようですし。
マスクはウイルスそのものを防ぐというよりも、自分がウイルスを含んだ飛沫を出さないようにしたり、あるいは他の人の飛沫を防いだりするのに効果的です。僕もこれ以降、多くの飛沫が飛び交うリスクのある、人混みの中に行く必要があるときには、再びマスクを付けるようになりました。
かかってしまうとかなりしんどいし、不安も大きいです。次にかかったときに、再び後遺症無く乗り切れるかは未知数なので、なるべくなら二度とかかりたくありません。お互いに気をつけていきましょう…!
というかそもそも、2024年4月1日からはコロナ治療費の公費負担が打ち切られるので、治療薬も高くつくようになりますからね。前述のゾコーバも公費負担で9000円で済んでいたのが、3割負担で15000円近くするようになりますし2。ますますかかりたくない!
コメント