子供の頃から乗り物が大好きでした。人や物を乗せて長い距離を移動する乗り物の力強さや造形美は、幼い頃から僕の心をつかんで離しませんでした。
数ある乗り物の中でも、鉄道は特に人気だと思います。「ガチ勢」でなくとも、鉄道が生活に身近だったり、あるいは旅行の楽しい思い出とセットだったりして、鉄道に親しみを持っている方は多いのではないでしょうか。「子供の頃に好きだった」という方も多いかもしれません。僕も子供の頃にはプラレールや鉄道の絵本が大好きでした。
そんな鉄道好きの皆様に、是非ともおすすめしたいスポットがあります。
名古屋港の金城ふ頭にある「リニア・鉄道館」では、過去に国鉄やJR東海にて活躍した鉄道車両の実物を眺めたり、列車の運転席をリアルに再現したシミュレーターで運転体験をしたりできます!
往年の鉄道車両を懐かしむ!
名古屋駅からあおなみ線(名古屋臨海高速鉄道)に乗り、終点の金城ふ頭駅で降車して改札を出ると、人の流れは二手に分かれます。片方はレゴランド・ジャパンやメイカーズピアへと向かうものなのですが、今回はその反対側へと向かいます。階段を下りると、今回の目的地である「リニア・鉄道館」が見えてきます。
入館料は大人1000円、小中高生500円、幼児(3歳以上未就学児)200円となっています。料金の支払いは現金、カードだけでなく、電子マネーやQR決済にも対応しているのが嬉しいポイントです。ブログ用の館内撮影に関しては「撮影禁止エリアにて撮影しない」「館内で上映されているムービーを撮影・公開しない」という条件のもとで許可を頂きました。
リニア・鉄道館はJR東海が運営する鉄道保存展示施設です。前身は静岡県浜松市の山中(中部天竜駅)にあった鉄道博物館「佐久間レールパーク」だったのですが、そこは気象の条件が展示車両に厳しかったことから2011年に金城ふ頭に移転しました。
ここには、さながら先日紹介したトヨタ博物館のように、往年の鉄道車両の数々が展示されています。
まず最初に僕たちを出迎えてくれるのは、蒸気機関車、新幹線、リニアの3つの車両です!いずれもJR東海にとって、節目の記録を樹立した車両となっています。
いやぁ、でかい!当たり前だけど、でかいなぁ。
列車をこの角度からじっくり見られる機会なんてなかなか無いですよね。
普段は駅のホームの上から見ている列車を、同じ高さに立って見るので、当たり前のことながら、まあ大きいです。タイヤ一つとっても、かなりの大きさです。
蒸気機関車C62系は日本最大・最速の蒸気機関車です。1954年当時に、狭軌鉄道の蒸気機関車としての世界最高速度である129km/hを記録しています。
力強さを感じるフォルムですよね。それにしても、蒸気機関車って何故黒いんでしょう。仮に白やピンクでも性能はそんなに変わらないのではないでしょうか?
すすが付くからでは?1
ボケさせてよ~
955系新幹線試験電車(300X)は、高速鉄道システム追求のために開発された試験車両です。1996年に当時の電車としての世界最高速度443km/hを更新しました。
最高速度を出すために、車体の構造そのものを流線型にして空気抵抗を減らしています。
こちらは2003年に山梨県のリニア実験線にて、当時の鉄道の世界最高速度である581km/hを記録した超電導リニアMLX01-1です。
先端が先ほどの新幹線試験電車以上に鋭い流線型をしています。いや、流線型というか、もはやくちばしですよ!既存の新幹線をさらに上回るスピードでの走行を想定されていることから、極限まで高速走行に特化した形状をしています。最速の機能美!サイレンススズカか!!ウマ娘のサイレンススズカさんも「最速の機能美」って感じのビジュアルで大好きです!(え)
リニア中央新幹線に関しては、後に改めて紹介します。
シンボル展示の車両にも早速圧倒されたばかりですが、メインホールにはさらにたくさんの車両が展示されています。一部の車両は中に入って座席の様子を見ることもできます。
こちらは国鉄時代の普通列車です。横向きのベンチシートと、進行方向を向いたシートから構成されているのは今の普通列車と変わりませんね。近距離輸送用の列車の形態は、かなり早い時代から完成していたのですね。
……と言いつつも、現代と大きく違う部分もあります。それは各座席に備え付けられた灰皿です!つまり、この車両が現役だった頃には車内でたばこを吸えたということなのですね。臭いがこもるだろうなぁ…
新幹線も、0系からN700系まで幅広く展示されています。
僕が子供の頃に読んだ鉄道の絵本に出てきた新幹線は0系や300系でした。初めて乗った新幹線も300系でした。ゆえに「新幹線」と言われて真っ先に思い浮かぶのはこの頃の「顔」なんですよね。あまり頻繁に乗ったわけではありませんが、子供の頃を思い出して懐かしさを感じます。
新幹線も車両内部を見学可能です。2階建て車両がありますよ!この2階建て車両というのも子供の頃の鉄道絵本に出てきて存在は知っていましたが、実物を見たのは初めてでした。
この2階建て車両は、食堂車となっています。食堂車も存在は噂に聞いたことがあったけれど、実物を見たのは初めてですよ!
1階が厨房、2階が客席になっています。モダンでおしゃれなレストランのようですね。車窓の景色を見ながら、ここでご飯を食べるのはまさに非日常の体験だと思います。これが廃止されてしまったのは、新幹線の速達性が大幅に上昇し、ゆっくり食べるほどの時間が確保できないからということなのでしょうね…
当時のメニュー表も再現されています。ハンバーグステーキセットが1700円にビーフカレーが900円というのは、令和基準でも「まあまあ高いなぁ」と思う価格なので、30年前の基準で考えるとかなり高級品だったのではないでしょうか。
食堂車以外にも、気になるものがいろいろありました。ドア周辺のスペースには、かつて冷水機や公衆電話があったようなのです。いずれも時代の流れで消滅していったものです。テレホンカードって、いろいろなデザインがあって好きでしたね… 新幹線車内では新幹線のデザインのカードを買えたようです。
いろいろ見ているうちに、懐かしいものや古いものに興奮している自分がいることに気付きました。古いものでテンションが上がるようになったということは、自分がそれだけ古い人間になったということなんですかね…
ドクターイエロー等の、旅客用車両ではない珍しい車両も展示されています。
このとげとげの車両は建築限界測定車という車両で、建造物が列車の運行に支障をきたさないかどうかを測定することができるようです。
JR東海の歴史。黎明期からリニア中央新幹線まで
リニア・鉄道館2階には、東海道線および東海道新幹線の歴史を紹介するコーナーがあります。
かつては歩いて進む街道だった東海道ですが、だんだんと速達性が求められるようになっていきました。明治初年には蒸気船により横浜から神戸までの高速海上輸送が実施されていましたが、明治5年に「丘蒸気」と呼ばれた鉄道が新橋・横浜間で開通してからは、鉄道が高速輸送手段として注目されるようになりました。当時の鉄道はイギリスから資金および技術の援助を受けて建設されていました。
東西の高速輸送のルートとして、当初は東海道と中山道がルートの候補に挙がっていたようですが、中山道は山岳地帯の工事が、当時の技術では困難な著しい難工事になることから、東海道に鉄道が通ることになりました。
その後、鉄道技術は国産化され、日本が自前で鉄道を開発するようになっていきました(このあたりの流れは自動車とも似ていますね)。
戦後、東京大阪間をさらに高速で輸送できるように、新幹線の開発が進みました。当時、高度経済成長期だった日本では、東海道線の容量が逼迫していたため、高速輸送の可能なバイパス路を必要としていたわけです。
東京オリンピック開会直前の1964年10月1日に開業した東海道新幹線は、東京オリンピックや大阪万博の際に優秀な高速輸送手段として大活躍しました。当時東海道新幹線は、ある意味で当時の国鉄の技術革新を国内や世界に広く知らしめる「動くパビリオン」とも呼べる存在だったようです。
現在鋭意工事中のリニア中央新幹線に関する展示もあります(こちらは1階)。
超高速走行のために様々な技術が使われており、その原理を様々な体験を通して学ぶことができます。
リニアはレールの側壁にある推進コイルと、車体にある超電導磁石の吸引と反発を繰り返すことで推進力を生み、磁力で浮き上がることで線路との摩擦を限りなくゼロにします(ざっくりと書きました)。強力な推進力と、それを最大限にまで高める浮力との合わせ技で、最高時速500km/hを超えるスピードで走ることができます。
リニアのスピードを体感できるシアターもあります。前述の通り、内部は撮影禁止なので撮影していませんが、東海道新幹線の平均走行速度である270km/hが遅く感じられるスピード感でした。浮上しながら走るので、超高速でありつつも走行音はほとんど聞こえません。
それにしても、リニア中央新幹線が開通すると、品川名古屋間が40分で結ばれるようです。ちょっとわけがわからない速達性です。「タイパ」も重要ですが、移動時間を優雅に楽しむのもまた旅の醍醐味だとは思いますね。
……こんなことばかり言っているとますます古い人間のようですが、それでも未来の技術にはテンションが上がります。あんなに大きな列車が浮かんで超高速で走るんですよ。それはもう「未来ずら~」って言いたくなっちゃいますよ!花丸ちゃん大好きです。
なまこマン、運転士デビュー!?
リニア・鉄道館は、ただ展示車両を見るだけの博物館ではありません。様々な体験ができる博物館です。その体験というのは、前述したリニアモーターカーの原理の体験や、速度の体験といったものだけではなく、運転シミュレーターや車掌体験といった、鉄道ファン垂涎のものも揃っています!
運転シミュレーターはN700系新幹線と在来線の2種類あります。運転シミュレーターと車掌体験は入場料と別料金となっており、N700系新幹線シミュレーターと車掌体験は500円、在来線運転シミュレーターは100円となっています。N700系新幹線シミュレーターと車掌体験は総合案内にて料金を支払い、在来線運転シミュレーターはブース近くの券売機にてチケットを購入します。
今回は在来線運転シミュレーターをやってみました。
やることは簡単です。列車の運転席を模したコントローラーで列車を制御し、駅の適切な位置で停車させることです。電車でGOです。
列車は3本(うち1本は終始傾けっぱなしなので実質2本)のハンドルで操作します。自動車で言うところのアクセルのような「マスコンハンドル」と、名前通りの「ブレーキハンドル」とで速度を調整します。
とはいえ、自動車とは違い、敷かれたレールの上を走るわけです。
そんなの余裕やろ!
意気揚々と始めてみたのは良いのですが…
えっ、今の行き過ぎ?
この辺からブレーキかけておくか。……って、今度は手前過ぎる!?
いやぁ。加速もブレーキも感覚が全くつかめません。ブレーキは車で言うところのエンジンブレーキに似ている気がしました。制動距離の感覚もつかみにくいです。
わかった。これはチキンレースだ。
日本の鉄道網がチキンレースで成り立っていたらたまったもんじゃないですよ!!
停車位置に気を遣ってゆっくり走っていたら、今度はダイヤを守れません。パンクチュアルなダイヤに合わせるために、スピードはある程度出さなければなりません。かといって、適切な場所で止めようと思ったらブレーキを適切に効かせないとオーバーランします。列車のオーバーランってニュースになりますからね…
結局、なまこマン運転士の列車は遅れに遅れ…
「もっと練習が必要です」
いいもん。列車は乗るものだから…
駅弁を食べられます
展示をじっくり見ていると、いつの間にかお昼になっていました。リニア・鉄道館にはレストランは無いのですが…
2階の休憩スペースに、こんな場所があります!……って、駅のホームによくある売店じゃないですか!
この「デリカステーション」で駅弁や飲み物を買って、売店前にあるテーブルで食べることができます。なるほど、これは面白いですね。確かに、鉄道でメシといったら駅弁ですからね。
リニア・鉄道館限定販売のものも含め、様々な駅弁が販売されています。その中から、今回は「東海道肉まつり」という非常に心躍る名前の弁当を購入しました!(1480円)
東海道新幹線沿線の東京、名古屋、大阪をイメージした、バラエティに富んだ肉料理が入っています。東京は焼き鳥、名古屋は味噌カツ、大阪は牛飯となっています。その他、からあげ、ゆで卵、煮物も入っています。
牛飯が甘辛くて旨いし、焼き鳥も柔らかいし、味噌カツも身のしっかりとしたヒレカツです。お肉の一つ一つが違った表情をしています。たくさんの品目が入っていて飽きず、お腹にもしっかりとたまるので、満足度が非常に高い駅弁です。
駅弁は旅情を感じられて良いですね!近所のスーパーで駅弁フェアがやっているときにも、ついつい買っちゃいます!
値引きシールが貼ってあると旅情もへったくれもないですね!
デリカステーションでは「シンカンセンスゴイカタイアイス」として知られる、スジャータのプレミアムアイスクリームも販売されています(340円)。ただし、冷凍条件によるのか、ここで食べられるものは新幹線車内販売のものと比べるとそこまで固くはありません。とはいえ、濃厚な乳成分の味わいは相変わらず最高です。
プレミアムアイスクリームは、今となっては新幹線車内では買えなくなってしまいましたが、東京~新大阪ののぞみ停車駅に設置された自販機にて購入可能です。
リニア・鉄道館 まとめ
リニア・鉄道館は金城ふ頭にある鉄道展示保存施設です。JR東海が運営しています。
JRや国鉄にて活躍した名車の数々が展示されているほか、運転シミュレーターや超電導リニア体験といった、体験型の展示の数々もあります。
駅弁を購入して食べられる「デリカステーション」や、JR・国鉄のオリジナルグッズが揃う「ミュージアムショップ」もあり、食事や買い物もばっちりです。
今回紹介したもの以外にも、期間限定の企画展・技術展示や、スタッフによるガイドツアーもあり、見所は本当に多いです。
入場料は大人1000円、小中高生500円、未就学児200円となっています。キャッシュレス決済にも対応しています。また、運転シミュレーターや車掌体験は別料金です。
鉄道が好きな方や、鉄道に親しみのある方は多いと思います。あるいは、お子様が居る場合にはお子様が鉄道好きだったりするかもしれません。リニア・鉄道館の展示は、誰しもの思い出に刺さるものばかりです!鉄道LOVEな生活を送っていなかったとしても、鉄道を利用した経験があれば、懐かしい思い出が蘇ること間違い無しです。鉄道にあまり馴染みの無い暮らしを送っていた僕も、終始「懐かしいなぁ」と思っていました(笑)
なまこマンさん、すっかりはしゃいでいますね。
やっぱり懐かしいからね!
海底にも新幹線が走っていたんですか?
走ってるよ!
えっ…?
北海道新幹線!青函トンネル!山陽新幹線の新関門トンネルも!!
全部、海底より下を通っていますけど…
リニア・鉄道館
愛知県名古屋市港区金城ふ頭3丁目2-2
営業時間:10:00~17:00
休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日)、毎年12月28日~1月1日
リニア・鉄道館のWebサイトはこちら↓
こちらは自動車の博物館!長久手市の「トヨタ博物館」の紹介記事はこちら↓
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