自家用車を持っていないので、日常の移動の足は公共交通機関に頼りがちです。幸いにも、バス停や地下鉄駅が近く交通の便の良い場所に住んでいるので、いつもお世話になっています。
名古屋市内を走る公共交通機関は様々です。JR、名鉄、近鉄といった鉄道路線はもちろん、市内各所に地下鉄とバスの路線網が張り巡らされていますし、郊外の守山区へは大曽根からガイドウェイバス「ゆとりーとライン」が走っています。
中でも、地下鉄と路線バスの運行を行っている「名古屋市交通局」の存在感は大きいです。名古屋市交通局が広大な名古屋市内に広域に路線網を巡らせているおかげで、なまこマンは冒険が出来ていると言っても過言ではありません。名古屋市交通局には足を向けて寝られません!
そんな名古屋市交通局の貴重な資料が展示されている「市営交通資料センター」という施設があることを知ったので、見学してきました。もちろん市バスに乗って行きましたよ!
貴重な「実物」や資料がいっぱい
基幹バスを大津通バス停で降り、オフィス街の路地の中へ入ってしばらく歩くと「丸の内会館」というビルが見えてきます。今回の目的地、市営交通資料センターは6階にあります。駐車場はないので、アクセスの際には公共交通機関の利用が推奨されます。
施設名の通り、名古屋市の公共交通に関する資料の数々が展示されています。
展示されている資料は、実際に使用されていた設備から、図書、市営交通関連グッズまで多岐にわたっています。
やはり「実物」があるのはかなりテンションが上がりますね!運転士がこれを実際に繰っていた、在りし日の姿を思い浮かべずにはいられません。
名古屋市の車両は、鉄道もバスもカッコいいのでグッズがとても絵になります。ICカード「マナカ」のグッズもかわいらしいですね。そして、地下鉄デザインの水筒(写真左側)がとてもスタイリッシュです。欲しいです。
名古屋市交通局は2022年に100周年を迎えています。ゆえに、市営交通資料センターにも古い時代の資料が多く残っています。
かつては名古屋市にも市電(路面電車)が走っており、1898年から1974年まで実に76年もの間、市民の足として活躍してきたのだとか。市電の路線網もかなり密に張り巡らされていたようですが、現在はどの大通りにも全く市電のあった面影が無いので驚きます。
市内の公共交通に関連した新聞記事の切り抜きも資料として保存されているのですが、市電廃止に関して「市電で時間をかけて目的地にたどり着くのにも味がある」とか「明治がどんどん遠くなっていく」とか書かれていて「なんか今と同じようなこと言ってるな!?」と思いました(笑)
そして、市電に代わる市民の足となったのが地下鉄です。1957年に開業した地下鉄は、道路の渋滞も関係なく、密なダイヤでよりスムーズかつ快適に市内の各所を結んでいます。東山線の車両は、今でこそシルバーにアクセントの黄色いラインが入ったものですが、昔は可愛らしいレモンイエローだったのですね。ちなみに昔の東山線の車両は一部がアルゼンチンに譲渡され、アルゼンチンの地下鉄車両として活躍しているのだそうです。
地下鉄開業の記念の品として、何故かはさみが飾られていました。「なんのこっちゃ?」と思いましたが、程なくして「開通式典のテープカットのやつだ!」と気付きました(笑)
市営交通資料センターの展示物は様々ありますが、最も特筆すべき点としては非常に貴重な限定グッズを多数販売していることです。具体的には、過去に販売された記念乗車券類(当然ながら期限は切れているので観賞用以外に使用できません)を購入可能なのです。これは公共交通マニア垂涎ではないでしょうか!
基幹バスレーンの話
名古屋市交通局の話をしているので、ついでにこの話もしちゃいましょうか。記事のネタにしようと思いつつも「小ネタ」にしかならなさそうだったので、ずっと温めていた「基幹バスレーン」の話です。
名古屋市の公共交通は、様々な画期的な試みを早い段階から導入しているのも特徴です。
この白い車体にえんじ色のラインが印象的なバスは、名古屋市の市営バスを代表する存在の「基幹バス」です。現在は呼ばれていませんが、かつては「基幹」の「幹」から取って「ミッキー」という愛称があったのだとか。
この基幹バスのどこが革新的かというと、片側2車線以上の道路の右車線を「基幹バスレーン」として、ほぼ基幹バス専用にすることで、バスの定時性・速達性を上げているのです。バスが道路の中央を走るので、基幹バスのバス停は中央分離帯に設けられています1。
もっとも、基幹バスレーンを設けてしまったがために、基幹バスレーンのある出来町通(愛知県道215号線 田籾名古屋線)の車線割りは複雑怪奇なことになっているんですけどね(苦笑) こちらの写真は千種区の谷口交差点付近にて撮影したものですが、右折レーンよりさらに右側が、直進の基幹バスレーンに割り当てられています。
ドライバーにとって複雑怪奇なだけならともかく、僕のような車を運転しないバス利用者にとっても、バス停が中央分離帯にあるせいで「バス停へ向かう横断歩道の歩行者信号が赤で、今バス停に止まっているバスに乗れない」ということもよく起こります。
この基幹バスレーンは、名古屋生活の中でもなかなかのクソ要素だと思うのですが、流石に今後廃止されるということも考えにくいので、名古屋を知らない方は「名古屋にはこういう道もある」とあらかじめ理解しておくことが安全運転や事故防止に繋がると思います。出来町通は本当に、このレーンのせいで相当走りにくいですからね…!
一方で、バスがスムーズに走れる場所がしっかりと確保されているおかげで、バスが大きく遅れることがあまりない点と、名鉄バスも含めてかなり過密なダイヤでの運行が実現している点は基幹バスレーンのメリットであると言えます。
地下鉄運転シミュレーターで運転にリベンジ!
市営交通資料センターには、目玉の展示としてこのようなものもあります。
こ、これは運転シミュレーター…!
地下鉄の運転席をリアルに再現した、運転シミュレーターです!僕が入ってきたのを見て、職員の方が「せっかくだからやっていかれますか?」と電源を入れてくれました(笑)
力行(りっこう)ハンドルとブレーキハンドルの2本のハンドルで操作します。これはリニア・鉄道館にて操縦したシミュレーターと同じ感覚で動かせそうですね!思えば、リニア・鉄道館の在来線シミュレーターでは「もっと練習が必要です」と辛辣な評価をされたのでした。ここでリベンジを果たします!
(海鼠運転中…)
ここでブレーキハンドルを捻ってスピードを落とすか… アッ!手前すぎた!!
やっぱりチキンレースじゃないか!!
レールの上を走るので自動車のような細かいステアリング操作は必要ないとはいえ、ダイヤと停車位置を気にしながら絶妙な位置で止まるのはやはり難しいです!改めて、毎日ダイヤ厳守の運行をしてくれる地下鉄運転士の方々のすごさを感じたのでした…
名古屋市交通局 市営交通資料センター まとめ
名古屋市交通局の市営交通資料センターは、名古屋市の公共交通に関する資料の数々を収蔵・展示しています。かつて地下鉄やバス車内で使用されていた設備類の実物に、市電時代の資料に、地下鉄開通当時の資料に、名古屋市交通局のグッズやノベルティ類等、貴重な資料の数々は、公共交通好きにはたまらないものばかりです!
地下鉄運転シミュレーターや、ゲームを楽しめる視聴覚コーナーといった体験型のコーナーもあり、名古屋市の公共交通に遊びながら親しめます。
過去に販売された記念乗車券等、貴重なグッズも購入可能です。
勉強になる楽しい施設ですが、なんと入場無料です。休日のちょっとした時間潰しに、子供と訪れてみるのも良いかもしれません。
名古屋市交通局 市営交通資料センター
愛知県名古屋市中区丸の内3丁目10-4
営業時間:10:00~16:00
定休日:水曜日、年末年始(12月29日~1月3日)
市営交通資料センターのWebサイトはこちら↓
金城ふ頭にあるJR東海の鉄道展示保存施設「リニア・鉄道館」の紹介記事はこちら↓
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