徳島を代表する観光スポットの一つに「大塚国際美術館」があります。ポカリスエット等でお馴染みの大塚グループが1998年に開設した、日本最大級の美術館です。2018年の紅白歌合戦にて、徳島県出身の米津玄師さんがここで「Lemon」を歌唱したことでも有名ですね。
そんな徳島屈指の人気スポットでありながら「いつか行こう」と言い続けて結局行かずじまいになってしまいました。まとまった時間の確保や、交通手段の確保が難しかったのです。徳島に住んでいた当時は自転車でどこまでも行っていたのですが、さすがに徳島市から片道20km飛ばした後で館内を歩ける自信はなかったのです(笑)
そんな大塚国際美術館に、今回、満を持して行ってきました。
ちなみに、既に大塚国際美術館を見学し、ブログの記事にもされている徳嶋ダイスケさん曰く、
(ダイスケさん)じっくり見ようと思ったら何時間でも潰せます。順路を普通に歩くと4kmぐらいあるようだから柔軟しといたほうがいいです。
とのことでした。4kmって!ちょっとしたウォーキングじゃないですか!!
大塚国際美術館の館内撮影について
大塚国際美術館では写真撮影が許可されています。ただし、フラッシュ撮影や、ストロボ、三脚の使用はできません。
館内の写真は商業利用厳禁です。本記事投稿時の2024年2月現在、当ブログは広告収入無しで運営していますが、今後仮にアドセンスを導入することがあった場合、この記事は広告を外すことで対応させていただきます(もっとも、アドセンス導入の予定は当分ありませんが…)1。
大塚国際美術館に入館!(入館料、前売り券)
大塚国際美術館は、鳴門市街と鳴門公園とを結ぶ徳島県道11号線沿いにあります。砂浜に沿ってリゾートホテルが立ち並ぶエリアを抜け、鳴門公園のある山の麓辺りに来ると、大塚国際美術館の大きなエントランスが見えてきます。
訪問時の2023年は丁度開館25周年であり、エントランス周辺には東京スカパラダイスオーケストラが大塚国際美術館の25周年に合わせ提供した楽曲「Departure」が流れていました。陽気なリズムに、ワクワクとした気持ちを呼び起こされます。
入館料は一般3300円、大学生2200円、小中高生550円となっています。また、10%ほどお得な前売り券もあります。今回はスマホサイトから事前購入可能な公式オンラインチケットを利用しました。前売り券の料金は一般3160円、大学生2140円、小中高生530円となっています。こちらは入館直前でも購入可能で、僕もシャトルバスの中で購入しました(笑)
その他、ローソンやセブンイレブンの端末に、鳴門市や徳島市等の周辺自治体の各施設にて前売りチケットを購入可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
エントランスから館内へは、とても長いエスカレーターで移動します。この先に名画の数々が待っているのかと思うと、ゆっくりとしたエスカレーターの移動時間もすごくワクワクとしてきます!
500円で音声ガイドのレンタルも可能です。太いペン型のデバイスの先端で数字をタッチすると、その数字に応じた音声ガイドを聞くことができます。
日本最大の陶板複製画美術館。大胆なディスプレイに驚き!
大塚国際美術館では、世界26か国、主に西洋の名画を展示しています。最大の特徴は、展示してある作品が全て陶板に印刷された複製画であるという点です。これだけ聞くと「本物の方が良いのではないか」と思われる方もいるかもしれませんが、陶板に印刷された陶板名画は経年劣化に極めて強いのが特徴です。紙やキャンバスや土壁に描かれた古い時代の名画にはどうしても経年劣化の問題が付きまとってきますが、大塚国際美術館の陶板名画は2000年経っても色あせないのだそうです。
大塚国際美術館のルーツは、鳴門海峡の白砂です。大塚グループは新規産業の開拓と創業地である徳島への貢献を意図して、鳴門海峡の白砂からタイルを作る産業を興しました。これが現在の大塚オーミ陶業なのですが、大塚オーミ陶業の発足時はオイルショックの真っただ中であり、思うように操業ができなかったようです。
それでもただでは起きないのが大塚オーミ陶業です。大型の陶板を焼くことのできる技術を持っていたので、発想の転換で、美術品を陶板に印刷する事業を世界で最初に始めました。前述の通り、陶板印刷は劣化に極めて強いため、劣化の問題を避けられない名画を保存することにも使えます。その後、大塚オーミ陶業は陶板名画の技術を蓄積していきました。そして、子や孫の代まで芸術を残し、徳島の地にも貢献するために、大塚グループ創業75周年記念事業としてこの陶板名画を集めた美術館が作られました。これが大塚国際美術館です2。
劣化への耐性を活かして、大塚国際美術館では、他の美術館だと考えられないような大胆なディスプレイも行われています。
中でも一番有名なのはこちらの「モネの大睡蓮」でしょうか。
屋外に設けられた広場を取り囲むように、モネが描き続けた、睡蓮をモチーフとした一連の作品が展示されています。この写真ではわかりにくいですが、周囲360度が一面の「睡蓮」となっており、自分も睡蓮の池の中にいるかのような迫力があります。絵を屋外で雨ざらしの状態にしておくなんて、他の美術館では到底考えられませんよね!
各地の聖堂や遺跡も陶板にて再現されており、中に入って鑑賞することが可能です。上下左右、全ての方向を見事な絵に囲まれており、圧倒されます。
大聖堂という場所柄、描かれているのは主にキリストやギリシャ神話等への信仰を示す絵画です。色鮮やかに描かれています。
天井まで余すことなく描かれているわけですからね。現代はクレーン等で高所作業できますが、当時はどうやってこんなに大きな構造物の内部に絵を描いていたのでしょうか?非常に気になります。
モネの大睡蓮と同じぐらい有名な展示は、こちらの「システィーナホール(システィーナ礼拝堂天井画および壁画)」でしょうか。
米津玄師さんが「Lemon」を歌ったのが、まさにこのシスティーナホールです。システィーナホールはちょっとした催事場にもなっており、定期的に催し物が開かれます。2024年3月には東京スカパラダイスオーケストラのコンサートが開催されます。
このように、陶板で再現された大規模な展示に入って隅々まで眺めると、その精緻な描き込みや、それを完全に再現して陶板印刷した大塚オーミ陶業の仕事のすばらしさに圧倒されるばかりです。
他にも、土器に描かれた絵を上の写真のように展開して展示しています。これも複製だからこそ実現可能な大胆な展示方法ですね。
世界各国の名画が心に響く
最近、水族館や博物館のような施設を見学する際に、どうしても「ブログ用の撮れ高」を考えてしまいがちです。展示を見るよりも、写真を撮ることに一生懸命になってしまっているような気がします。撮った写真の半分ほどしか記事に使わないというのに!
なので、大塚国際美術館では特に撮れ高を意識せず、気になった展示にだけカメラを向けて、自分のペースで鑑賞しようと考えていたのですが、結果的にはそれでも十分に撮れ高がありました(笑)
それだけ、大塚国際美術館にはたくさんの名画が展示されています。ここからは、心に残った名画を紹介していきます。ただし芸術に明るいわけではないので、一部タイトルを失念していることはご了承ください!
こちらは古代のお城にあった壁画だったようですが、遠近法を使って広く見えるように工夫しているあたりに、古代から変わらない人間の見栄を感じて可笑しかったです。
絵の題材についても、古代はキリスト教や神話をテーマにした宗教画が多い印象でした。教会に権威があり、後世に残りやすい絵画を発注しやすかったということなのかもしれません。
時代が進むと、人間の生き生きとした営みや造形の美しさが絵画の対象となっていった印象を受けます。モナ・リザの柔らかなほほ笑みは間近で見ると本当に美しかったです。
こちらの静物画はまさに、目の前の一瞬をリアルに切り取ることに重きを置いている感じがしますね。写真とはまた違った魅力があります。
フェルメールの「牛乳を注ぐ女」と「真珠の耳飾りの少女」は有名ですね。ゲームの「どうぶつの森」で知りました(え)
コントラストのハッキリとしたリアルなタッチと、それでいて柔らかな輪郭が印象的です。
衝撃を受けたのは、アルチンボルドの「四季」という作品です(この写真は『夏』)。植物や野菜を組み合わせ、人間の横顔を形作っています。野菜の造形も、顔の絵としてのクオリティも両方高く、アルチンボルドの型破りな発想と技術の高さの双方に驚かされました。
こちらはレンブラントの「テュルプ博士の解剖学講義」という作品です。テュルプ博士と思われる人物が遺体の腕の筋肉から動脈を剖出し、医学生たちに解剖学を教えている様子が生き生きと描かれています。前のめりな学生たちの息遣いが今にも聞こえてきそうでありつつ、それでいて肉体の描写もリアルで、非常に印象に残りました。
そして、時代が現代に近づくと、絵画のテーマはだんだんと抽象的なものになっていきます。
こちらはパウル・クレーの「赤・緑の階調による、赤い円屋根のある都市像」という作品なのですが、ややゆがんだ大小の正方形という組み合わせは一見すると素人でも描けるのではないかと錯覚してしまいます。しかしながら、形状も、色使いも、これを「都市」とする発想力も全てがキャッチーで、僕のような素人にはとても真似できません。その発想と世界観に価値があるのかもしれません。
……と思ったら、もっと「素人でも作れるんじゃないか」と思ってしまうようなものが来ましたよ!?
こちらの一面の青は、青をテーマに数々の作品を制作してきたイヴ・クラインの「青のモノクローム」という作品です。
とはいえ、この青一色も適当に作られたかというとそういうわけではありません。よく見るとわかる「塗りむら」や「重ね塗り」から味が生まれていますし、そもそもこの青色も非常に鮮やかです。
強くこだわった青という色を、より美しく表現しようとした結果行きついたのかなと思いました。
そしてこちらも同じくイヴ・クラインの製作した作品なのですが、なんと裸の女性に青色の塗料を塗りつけて型をとった、いわば「人拓」なのだそうです。わかったうえで見ると… 味わいがありますね(言葉を選びました)
芸術方面の知識はほぼ無く、強いて言うならどうぶつの森に出てきた美術作品だけはなんとなくわかるといった程度で鑑賞しましたが、見事な絵画はとても印象に残りますね。昔から人を惹きつけてきたことがよくわかります。色使いの鮮やかさも、高い画力やデッサン力も、発想も、全てが素晴らしいと思いましたし、だからこそ長い年月人々に親しまれているのだとも思いました。
僕はどちらかというとうんちくを並べたい人間です。予備知識があることで物事を最大限に楽しむことができると思っていますが、一方で「よくわからないけれど、なんかいいな!」という感覚も大事にしたいとも改めて思いました。大塚国際美術館で見た陶板名画の数々はまさに、知識が無くても心に残る素晴らしい作品でした。
順路を最後まで進み、現代の展示も見終えると、海や鳴門公園がよく見える庭園にたどり着きます。
見学にかけた時間は約2時間となりました。どちらかというと早歩き気味に見たので、じっくり見ようとすればもっと時間はかけられそうです。そして、ダイスケさんから聞いた通り、確かになかなか歩きました。ピクミンブルームの歩数もこの日はかなり稼げました(笑)
大塚国際美術館 まとめ
大塚国際美術館は、徳島県鳴門市にある、大塚グループの運営する私設美術館です。
展示されている精巧な「陶板名画」は大塚グループの技術の粋を結して作られており、劣化への強さから、他の美術館ではできないような大胆な方法で作品の展示が行われています。
システィーナ大聖堂等、巨大な構造物を再現した展示は見事の一言です!
入場料は、一般3300円、大学生2200円、小中高生550円です。前売り券を活用すると一般3160円、大学生2140円、小中高生530円で入館できます。
音声ガイドの有料レンタル(500円)や、学芸員による見所の案内等、展示をより楽しめる仕掛けもたくさんあります。
陶板名画の数々は複製品とはいえ、とても精巧に再現されています。月並みな感想ではありますが、この記事の写真だけではその魅力を十分に伝えきれていません。ぜひとも実際に行ってみて、生で作品の数々を見てほしいです!
また、今回は立ち寄っていませんが、館内には「レストラン・ガーデン」「カフェ・ド・ジヴェルニー」「カフェ フィンセント」といった飲食テナントもあり、鳴門の鯛を使った海鮮料理や、展示作品をテーマにしたフードメニューを提供しています。ダイスケさん曰く、フィンセントのプリンが美味しいとのことでしたが、残念ながら訪問時は営業していませんでした(笑)
(おまけ)沖縄限定 ボンカレー
ミュージアムショップでは、家庭に飾れるサイズの陶板画やオリジナルグッズ、大塚国際美術館オリジナルデザインのマンマローザ等、ここならではの様々な物品を取り扱っています。
ですが、それだけではなく、大塚グループの美術館のミュージアムショップであるゆえに、こんなものまで販売されているのです…
それがこちらの「ボンカレー」です。松山容子さんの現役時代はよく知らないのに2、このパッケージにはなんだか親しみを覚えます。大村崑さんのオロナミンCのホーロー看板にも同じようなことが言えますね(笑)
え?「ボンカレーなんて珍しくもなんともないだろう」って?いえいえ。皆様が頭に思い浮かべているであろう、オレンジの三重丸模様の「ボンカレーゴールド」とは違う商品です。
こちらのボンカレーは、なんと沖縄県限定商品なのです!もともとはこちらが元祖だったのですが、後に我々のよく知る「ボンカレーゴールド」に改良されました。ボンカレーが沖縄限定販売なのは「沖縄ではボンカレーゴールドの味よりもボンカレーの味のほうが支持されていたから」という理由があるようです3。
早速、温めて食べてみることにしましょう!湯煎調理はもちろん、電子レンジ調理も可能ですが、ボンカレーゴールドとは異なり、箱の状態で電子レンジ調理することはできないので要注意です。
スパイシーさと甘酸っぱさを感じさせる香りが漂ってきます。皆の大好きなカレーです。
ボンカレーは特に、他のレトルトカレーと比較して圧倒的に具沢山でなおかつ具が大きいんですよね。大きなにんじんやじゃがいもがゴロゴロと出てくるので、思わず笑顔になっちゃいます。
味の方も、野菜のコクがたっぷりと出た、甘味と旨味とスパイシーさが渾然一体となった複雑な美味しさです。家庭の2日目のカレーみたいな、旨さの溶け込みっぷりです。辛口を購入しましたが、あまり辛くはないですね。
発売された1968年当時、牛肉は高級品だったようで、ボンカレーはそんな牛肉がたっぷりと使われた、ちょっとしたごちそうだったようです。その「ごちそう」感は2024年になっても変わりません。こんなに具沢山なカレーを、リーズナブルなお値段かつ、簡単な調理で食べられるのがとても嬉しいです。
2023年に誕生55周年を迎えたボンカレーは、発売以降も素材を国産にこだわったり、封を切らずにレンジ調理できるようにパウチを改良したり、動物性原材料を使わない商品を発売したり等、進化を続けています。無性に食べたくなる、心の落ち着く「元祖レトルトカレー」としてこれからも末永く続いてほしいです!
ボンカレーゴールドとの食べ比べはしないんですか?
しーっ!言わなきゃ押し切れたのに!!2
大塚国際美術館
徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦福地65-1
営業時間:9:30~17:00
定休日:原則毎週月曜日(祝日の場合は次の平日)
大塚国際美術館のWebサイトはこちら↓
- 参考:お問い合わせ・よくある質問|ご利用案内|大塚国際美術館 – 四国・徳島県の美術館 観光施設
- 参考:美術館ストーリー|大塚国際美術館|徳島県鳴門市にある陶板名画美術館
- 元はボンカレー、ボンカレーゴールド共に全国区で販売されていましたが、前述の理由からボンカレーは沖縄限定での展開となったようです。参考:ボンカレーのQ&A|ボンカレー公式サイト
コメント
わ~~、いいですね~。
一度行きたいとず~っと思ってますが、今だに行けてません。
いつかは!!
それはそうと、入場料、高いんですね(゚Д゚;)
コメントありがとうございます。
物価の安い田舎の美術館にしては価格設定が強気だとは昔から思っていました(笑)
ですが、迫力ある展示の数々は一見の価値ありです!
公共交通機関でのアクセスが非常に困難である点はご注意ください。