金華山に登ったり、リスと戯れたり、温泉に入ったりと、体を動かすアクティビティや癒しを満喫することのできた日帰りの岐阜旅でしたが、せっかく夏場に岐阜にやってきたということで、ぜひとも見ておきたいものがありました。それは「長良川鵜飼」です!
鵜飼は古事記の時代から行われてきたとされる日本の伝統漁です。鵜を連れた鵜匠が、川に浮かべた船の上から巧みに鵜を操り、鮎を捕るというものです。現在でも全国13カ所にて行われています。長良川鵜飼は、全国各地で行われる鵜飼の中でも特に有名なものですね。実に1300年もの歴史を誇っており、江戸時代には徳川家の、明治以降は宮内庁の庇護のもと、現代まで続いています。
長良川鵜飼は毎年5月11日から10月15日まで、ほぼ毎晩欠かさず行われています1。そんな鵜飼を初めて見物してみたところ… 全ての体験が非日常で、とても貴重な体験になりました!
まずは鵜飼について学ぶ!「長良川うかいミュージアム」
鵜飼を見る前に、まずは鵜飼について少しでも知識を増やしておきたいです。今のところ「鵜匠が鵜に鮎を捕まえさせる漁」というおぼろげな知識しかありませんからね。僕はいろいろと「うんちく」を仕入れたいタイプです。事前知識があれば、より楽しめると思うのです。
そんな僕にぴったりの施設が、長良川温泉の温泉街の中にありました。岐阜市の運営する「長良川うかいミュージアム」です。ここではムービーや楽しいディスプレイで、体感しながら長良川鵜飼について学ぶことができます。
順路に沿って進むと、まずは長良川の鵜飼を紹介するムービーが上映されます。ここで長良川の鵜飼の歴史や、鵜飼の原理、鵜の生態、鵜飼の一年等について簡単に学んだ後、展示を見ることで改めて長良川鵜飼についての知識を深めることができるのです。やはり、知らないことだらけで、勉強になりましたね!
ここで展示を見るまで、鵜は川(長良川)に生息しているものを捕まえてしつけて漁に使っているのだと思っていました。ですが、そういうわけではなく、現在は茨城県日立市の「鵜の岬」という場所で渡り鳥のウミウを捕まえており、それを鵜飼用にしつけているのだそうです。ポケモンのウッウ2はゲーム内では川に生息しているから、勘違いしていましたよ!
暗がりの中でかがり火を焚いて漁をするのにも、意味があります。暗闇の中での明かり取り以上に、川の中の鮎を驚かせることに意義があり、そこを鵜に捕まえさせているのです。
鵜飼の装束にも意味があります。装束が紺色なのは鵜を驚かせないため、履くわらじが前半分だけなのは水中で踏ん張るため、腰蓑をつけているのは水滴を避けるためという理由があります。
鵜飼は単なるパフォーマンスではなく、全ての過程にきちんと意味のある漁であることが改めてわかりますね。
長良川うかいミュージアムでは、長良川鵜飼について様々な展示で体感しながら楽しく学ぶことができます。また、ミュージアムショップや休憩スペース、カフェもあります。夜7時まで営業しているので、日帰りで鵜飼見物をしたいときの時間潰しにも活用できます。
ミュージアムショップにてカッコいい鮎のキーホルダーを購入しました。鮎のシルエットも「岐阜長良川」のフォントも、裏面の鵜飼のレリーフも最高です!小学生の頃にはこういうキーホルダーが好きでよく集めていたのですが、久しぶりにときめいた一品でしたね…
長良川うかいミュージアムの入場料は、
大人(15歳以上):500円
子供(4歳~14歳):250円
乳幼児(4歳未満):無料
となっています。障がい者割引や、割引前売り券もあります。詳細は長良川うかいミュージアムのWebサイトの利用案内ページをご覧ください。
長良川うかいミュージアム
岐阜県岐阜市長良51-2
営業時間:
9:00~19:00(5/1~10/15)
9:00~17:00(それ以外の期間)
定休日:火曜日(5/1~10/15は無休)
※訪問時点での情報です。
長良川うかいミュージアムのWebサイトはこちら↓
鵜飼見物の予約について
長良川鵜飼の様子をお伝えする前に、長良川の鵜飼見物の予約方法について紹介します。
長良川鵜飼観覧船への乗船予約は、公式ホームページからのインターネット予約、もしくは鵜飼観覧船事務所窓口で直接行う窓口予約の2つの方法にて行うことができます。電話予約は受け付けていないので、遠方にお住まいの方の大半はインターネット予約を使うことになるかと思います。
インターネット予約は専用サイトから24時間受け付けており、決済方法はクレジットカード一括払いのみとなっています。また、窓口予約は4月頃から受付を行っており、4月から鵜飼が始まるまでは10時~17時30分、鵜飼期間中は15時~19時30分に申し込みが可能です。窓口予約の場合は現金払いも可能です。
乗合船は18時15分発、18時45分発、19時15分発の3種類あります。鵜飼が始まるのは19時45分であり、それまでの時間を船内で弁当などを食べながら待ちます。
料金は、
大人(中学生以上):3500円3
小人(小学生以下):1800円
となっています。3歳未満の幼児は無料であるほか、障がい者手帳や療育手帳等、障がい者であることを照明する書類の提示で本人とその介助者が500円の割引を受けることができます。
また、上で紹介したのは乗り合いの鵜飼観覧船の料金ですが、同じ予約サイトから貸し切りの鵜飼観覧船の予約も可能となっています。お値段は… 僕のような庶民にはなかなか手が出ません(苦笑)
重要なポイントとして、このサイトで予約できるのはあくまでも鵜飼観覧船への乗船のみです。なので、船内での飲食については事前に自分で手配しておく必要があります。長良川鵜飼公式ホームページには、乗船場まで仕出し弁当を手配してくれる事業者の一覧が掲載されています。
火~金曜日の平日限定で開催されている「おまかせパック」「おまかせパックデラックス」というプランもあります。このプランは岐阜観光コンベンション協会が企画・実施しているもので、食事が付属します。通常とデラックスの違いは弁当の内容と、子供への乗船記念品の有無となっています。こちらのプランは長良川鵜飼公式ホームページからではなく、乗船の11日前の午前中までに岐阜観光コンベンション協会への電話予約が必要となっています。詳しくはこちらをご覧ください。
その他、長良川温泉の各ホテルが、日帰りもしくは宿泊での鵜飼見物プランを用意しています。こちらはホテルでの食事後に、屋形船に乗り込んで鵜飼を見物する流れとなります。
大迫力の鵜飼見物!
乗船時間が近づいたため、乗船場へと向かいます。
乗船場は岐阜公園や川原町からほど近い長良川南岸にあり、鵜飼観覧船事務所窓口と、乗船者用の待合室が併設されています。待合室にはコインロッカーもあり、登山用のリュックが入るサイズの大きなロッカーもありました。
窓口にて予約を確認したら、いよいよ乗船です。なお、船の空き状況によっては当日予約も可能なようです(訪問時にもカナダ人のお兄さんが当日予約で乗船していました)。
乗船記念に、長良川鵜飼のトレーディングカードが配布されています(参考)。
鵜飼見物のお供に、仕出し弁当を注文しました。前述の通り、仕出し業者が乗船場まで弁当を持ってきてくれます。注文した鵜飼弁当については、後日の記事で詳細に紹介します。かなり豪勢なものを注文しました!
投稿しました↓
早速、鵜飼観覧用の屋形船に乗り込みます。船内は土足禁止なので、靴を脱いで乗り込みます。船内には長い卓が置かれており、乗客はそれを囲むように座ります。
この船を、船頭さんが長い竿で漕ぎ、乗船場から上流方面へと長良川を進んでいきます。前述の長良川うかいミュージアム付近で停泊し、そこで鵜飼の船が来るのを待ちます。屋形船で仕出し弁当を食べながら鵜飼が始まるのを待つ、この時間は本当に「非日常」です!
そして、夕焼けがとてもきれいです。まだ鵜飼が始まっていないのに、このロケーションだけで既に大満足で「来てよかった」と思いました!
日が傾き、鵜飼の開始時間である19時45分になりました。4発の花火を合図に、鵜飼が始まります。
長良川鵜飼の鵜匠には6つの屋号があり、それぞれの船が上流から下りてきます。屋形船はまず、鵜飼の船と並走して川を下りながら、間近で鵜匠の手さばきを見せてくれます(狩り下り)。
暗闇の中、かがり火が煌々と燃え上がり、鵜が忙しなく水に潜ります。そして何かを咥え、鵜匠に引き上げられます。有無を言わせぬ躍動感があります。ですが、先ほど長良川うかいミュージアムで学んだとおり、これは単なるパフォーマンスではなく、全ての行動が理に適った「伝統漁法」なのです。鵜匠は鵜の首に紐を巻いており、この紐があることで一定以上のサイズの鮎は鵜の喉の途中で引っ掛かります。そして、引っ掛かった鮎を吐き出させて漁獲します。
船上では船頭さんが鵜飼についての解説をしてくれます。曰く、長良川鵜飼は宮内庁御用達であり、鵜匠たちは宮内庁式部職鵜匠という国家公務員職に就いているのだそうです。また、鵜飼で捕った鮎は市場に出回るのではなく、契約している料亭や旅館に卸されるのだそうです。すぐ横で知識を得ながら鵜飼の様子を見られるので、目の前の光景がより高い解像度でもって心に刻まれます。
最後は6艘の船が川幅一杯に広がるように隊列を組み、一斉に上流から下流へと下りていきます。「総絡み」と呼ばれています。やはり壮観なのですが、これもパフォーマンス的な意味があるわけではなく、川の鮎を残さず狩るための波状攻撃のようなものだといいます。
こちらが、鵜の捕まえた鮎です。体についている傷が、鵜飼によって捕られた鮎であることの証明になるのだそうです。
そして、総絡みが終わるとその日の鵜飼は終了となります。鵜飼が始まってから下船するまではおよそ1時間ほどなのですが、終始夢を見ているかのような、幻想的な体験でしたね…
日帰りの場合、乗船場の近くに路線バスのバス停(長良橋バス停)があるので、そこから岐阜駅方面へと向かうことができます。また、自家用車を利用する場合には近隣の有料駐車場を利用可能です。
長良川鵜飼 まとめ
長良川鵜飼は、岐阜県岐阜市の長良川にて実施されている伝統漁です。毎年5月11日から10月15日まで、ほぼ毎晩実施されています。
そんな鵜飼の見物は、鵜飼観覧船事務所窓口もしくはインターネットにて予約することが可能です。岐阜観光コンベンション協会や長良川温泉のホテルが実施する鵜飼ツアー、鵜飼プランもあります。鵜飼観覧船事務所窓口の向かいにはコインロッカーを備えた無料休憩室があるので、大きな荷物があるときにはここに置いておくのが便利です。
乗り合いの鵜飼観覧船の料金は、
大人(中学生以上):3500円3
小人(小学生以下):1800円
となっています。
鵜飼見物の前には、長良川うかいミュージアムの見学がおすすめです。様々な体感型の展示で、長良川鵜飼の歴史や鵜の生態について学ぶことができます。
かがり火が照らす中で鵜匠が鵜を操り鮎を捕る姿は迫力満点で、幻想的かつ非日常的な体験です。平日だと割と当日予約でも乗船できたりするので、おすすめです!
岐阜市鵜飼観覧船事務所
岐阜県岐阜市湊町1-2
※訪問時点での情報です。
長良川鵜飼のWebサイトはこちら(鵜飼観覧インターネット予約)↓
コメント
長良川沿いをぶらぶら歩いていて発見、うかいミュージアム行きました。
でも内容はあまり覚えていませんでした(^^;
11月だったので鵜飼シーズンが終わっていて静かなものでした。
鵜飼って夜にするんですね。屋形船もあり風情がありそうです。
その時は長良川鉄道に乗って郡上八幡にも行ってみたかったのですが時間が取れず…
またそちらに行く機会があったら鵜飼も見学してみたいです。
コメントありがとうございます。
長良川鵜飼は本当におすすめですよ!夕方に船に乗って、船の中で弁当を食べながら鵜飼の始まりを今か今かと待って、闇の中の篝火に浮かぶ鵜匠と鵜を眺めるのは全てが非日常です。
鵜飼シーズンが過ぎたあとは、あのあたりは静かなものだと思いますね。
岐阜は広すぎるので一回でたくさんの見所を見るのは大変だと思っています。僕も岐阜の攻略は1年ほどかけて5回ぐらいに分けようかと思っています(笑)