(シリーズ・なまこマンの2泊3日静岡の旅【さわやか・サウナしきじ・清水港の海鮮丼】)
さわやかでげんこつハンバーグを食べた後に向かったのは、静岡市のシンボル的な都市公園の「駿府城公園」です。その名の通り、駿府城の跡地に整備された公園です。
徳川家康が江戸幕府を開く前に築城し、将軍を退き「大御所」となった後に晩年を過ごした場所である駿府城は、令和の現在、江戸時代の面影を残しつつも、現代の都市公園としての景色も見せる空間となっています。
積み重ねた歴史を感じながら、駿府城公園を散策してきました!
城跡に整備された公園
新静岡セノバから5分ほど歩くと、駿府城公園にたどり着くことができます。
濠に囲まれ、見事な門をくぐって園内に入ると、内部はすっかり都市公園となっています。入園にも特に料金は必要なく、静岡市民や観光客が思い思いに園内を歩いています。遊歩道があり、木々が植えられ、遊具や広場があります。園内に静岡おでんの店(おでんや おばちゃん)もあるのが良いですね。
歩いていて目に映る景色はすっかり普通の公園なのですが、所々に濠の跡があったり、徳川家の葵の御紋を模した花壇があったりと、ここが徳川家康ゆかりの駿府城であったことを思い出させてきます。
園内には大御所となった後の徳川家康の像が建てられています。
愛知県岡崎市の名鉄東岡崎駅近くにある徳川家康騎馬像は若いので、同じ人物でも地域ごとにイメージされる姿が異なるというのが実に面白いです。
東御門・巽櫓
駿府城公園そのものは入場無料なのですが「東御門・巽櫓」「坤櫓」「紅葉山庭園」は入場有料です。
駿府城公園の東側の入口・東御門は1996年に、巽櫓は1989年に再建されており、内部が資料館となっています。駿府城の成立から現代に至るまでの歴史を紹介しているほか、園内で発掘された資料類が展示されています。
こちらは在りし日の駿府城を再現したジオラマです。濠が漢字の「回」の字に張り巡らされていますが、現在駿府城公園として整備されているのは内側の濠よりもさらに内側の部分で、外側の濠と内側の濠の間の部分(三の丸)には現在、静岡県庁や静岡市民文化会館が整備されています。
東御門は駿府城二の丸の東口にある主要な出入り口でした。入口をコの字に囲むような構造になっており、侵入者を囲んで総攻撃することができます。鉄壁の守りを誇ります。
資料館となった現在も、侵入者を撃退するための石落としが設けられています。入ってこようとした外敵に、ここから石を落としてぶつけたり、熱湯をかけたりして迎撃したのだとか。
もちろん、平和な現代では無用の長物なのでアクリル板で塞がれており、親切な侍が「この上にのるとキケンでござる」と警告を発しています。
築城に携わった徳川家康の家臣・松平家忠の日記を再現したものも展示されています。松平家忠はこまめにその日の出来事を記録していたのですが、空白には落書きが残されていて、どこか親近感を覚えます。僕も子供の頃にはゲーム「ラチェット&クランク」のラチェットやクランクをよくノートの端に描いてましたからね(え) 時が流れて後世の子孫に落書きが見つかって、深く考察されたりすると恥ずかしいですね(笑)
紅葉山庭園
紅葉山庭園は家康が作らせた庭園… というわけではなく、歴史的な遺構を現代に伝える駿府城公園にふさわしい大名庭園として2001年に新たに整備されたものなのだそうです。
入口にはモミジが植えられており、見事な赤に染まっています。
紅葉山庭園は駿河の国の名勝を織り込んだ「里の庭」「海の庭」「山里の庭」「山の庭」の4つの庭から構成されています。この写真に写っているのは「海の庭」で、池の石組で伊豆の風景を再現しているといます。
歩いていると、池の水の音が心地良く聞こえてきます。色鮮やかな庭を眺めながら、せせらぎを楽しむのはとても贅沢な時間です。
園内には茶室「静月庵」が設けられており、茶の湯を楽しむことができます。
池沿いを通っていた園路は、木々の間を通る細道へと姿を変えます。
築山の上に登ると、池越しに静岡市の高層ビルが見えています。東京ディズニーランドや東京ディズニーシーは園内の世界観を守るために、園内から外部の建造物が見えないように設計されているというのが有名な話ですが、紅葉山庭園から見えるこの風景は、現代と江戸時代が交差するような駿府城公園を端的に表しているようでとても好きです。
坤櫓
坤櫓は2011年に再建されており、東御門・巽櫓と同様に内部が資料館となっています。
特に、日本の伝統的な木造工法によって再建されているのが特徴で、様々な匠の技を見ることができます。
技術の数々の中ですごいと思ったのがこちらの木組みですね。
2つの木材に複雑な彫りを入れ、組み合わせることによって、釘等を使わずに木材同士を連結する技法です。驚いたのは、直方体の木材に力をかけたときに、木組みを嵌めこむ方向には容易に動かせるのに、それ以外の3方向にはいくら力をかけても動かないことです!
内部を歩き回るだけで、伝統技術のすばらしさを感じることのできる場所です。
その他の史跡
三ヶ日みかんや西浦みかん等、みかんの著名な産地の一つでもある静岡県ですが、駿府城公園には徳川家康が手植えしたみかんの木が現存しています。
しかもこの木は、今も食べられる実をつけるということで。品種改良が進んだ現代のものと比較すると実は小ぶりな印象でした。訪問日の翌日以降に、日本平動物園や静岡市各地の幼稚園等でみかんの実を配布予定だったそうです。
また、駿府城公園では令和の現在にも発掘作業が続けられています。現在発掘されているのは天守閣のあった「天守台」であり、駿府城の天守閣は寛永12年(1635年)の火災で焼失して以降、失われたままの状態が続いています。そんな天守台の発掘調査が始まったのが2016年の話になります。今回は訪問していませんが、出土品を展示する「発掘情報館 きゃっしゃる」という施設も併設されているようです。
駿府城公園 まとめ
駿府城公園は、静岡市葵区の駿府城跡に整備された都市公園です。
園内には植物が植えられ、遊歩道や遊具広場が整備された市民憩いの場となっているほか、駿府城の遺構の発掘作業や復元作業が現在も行われており、復元された東御門・巽櫓や坤櫓は有料で見学が可能です。静岡の自然を再現した絢爛な庭園の紅葉山庭園もあります。
香川県高松市の玉藻公園や、徳島県徳島市の徳島中央公園なんかもそうですが、城跡に都市公園が整備されているのは、時代が下って城がその役割を失っても、公園という新しい役割を得て今なお街を見守っているように思えて、とても素敵だと思います。
なお、施設の入場料は
紅葉山庭園
大人:150円 小中学生:50円
坤櫓
大人:100円 小中学生:50円
東御門・巽櫓
大人:200円 小中学生:50円
施設共通券
大人:360円 小中学生:120円
となっています。
駿府城公園
静岡県静岡市葵区駿府城公園1-1
※訪問時点での情報です。
駿府城公園のWebサイトはこちら↓
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