名鉄名古屋本線の沿線にある岐阜県笠松町には「笠松競馬場」があり、岐阜県地方競馬組合が主催する地方競馬「笠松競馬」が開催されています。
この笠松競馬からは、中央競馬でも輝かしい戦績を残した騎手や名馬が輩出されていますが、その中でも特に有名なのは、1987年から1990年にかけて活躍した競走馬・オグリキャップではないかと思います。現役当時には社会現象的なブームを巻き起こしたほか、令和の現在はゲーム「ウマ娘プリティーダービー」関連でも注目されています。2020年には、ウマ娘のスピンオフとして、ウマ娘のオグリキャップを主人公に据えた漫画作品「ウマ娘シンデレラグレイ」の連載が始まり、2025年にはTBS系列でアニメ化もされています。
名鉄名古屋本線の笠松駅は特急停車駅なので、岐阜から名古屋への帰り道の途中で、笠松競馬場に少し立ち寄ってみることにしました。
訪問日は笠松競馬の開催日ではありませんでしたが、レトロな雰囲気漂う笠松競馬場の風情を噛み締めながら場内を散策してきました。そして、競馬場グルメも味わってきました。
笠松駅から笠松競馬場へ

豊橋行きの名鉄特急を笠松駅で下車し、笠松競馬場に向かいます。

笠松駅には売店を兼ねた観光案内所(ふらっと笠松)があり、岐阜県のお土産が売られていますが、それに混じってオグリキャップや笠松競馬関連のグッズも販売されています。



また、笠松町はアニメ版のウマ娘シンデレラグレイの「聖地」であることも前面に推しており、ふらっと笠松にはオグリと、友人のフジマサマーチ、ベルノライトのパネルが飾られているほか「聖地巡礼マップ」も配布されています。
ウマ娘としてのオグリキャップは、一見するとクールでミステリアスなのですが、実はド天然キャラです。また、作中屈指の大食いでもあり、どのメディアミックスでも大抵、何かをたくさん食べてはお腹をパンパンに膨らませている姿を見られます。

ウマ娘関連のイベントのグッズや写真も飾られています。2025年4月に開催された、名鉄とシングレのコラボイベントのグッズが飾られていますが、それ以上に気になるのが、笠松競馬場のダートコースを走る屈強なオグリたちの姿です(笑)
これは2023年より毎年1月頃に開催されている「仮装の宴」というイベントの様子で、案の定ウマ娘のコスプレの方が多いようです。というかXを調べていたら、笠松町長自らコスプレをしている写真が見つかって笑いました。

笠松駅(中央改札口)から笠松競馬場までは、徒歩で約5分ほどの距離にあります。
笠松競馬場方面へ向かうには、アンダーパスで名鉄名古屋本線をくぐります。
アンダーパスの壁面には馬のイラストが描かれています。名古屋市営地下鉄名城線の、ナゴヤドーム前矢田駅の通路に貼られた、中日ドラゴンズの選手たちの写真なんかもそうですが、競技場の近くで見られるこういう演出は、スポーツ観戦の気分を盛り上げてくれてとても良いですね。

アンダーパスを進んでいると、途中で混乱を招くものがあります。アンダーパスの出口付近に分岐があり、そこには、笠松競馬場へは右折するよう案内する看板が設置されているのですが、その上から、全く逆方向に案内するラミネート紙が貼られているのです。
結論から言うと、どちらの方向に進んでも笠松競馬場へは行けるのですが、新しく貼られたほうの案内に従って左に進んだ方が安全にアクセスできます。右ルートと左ルートの違いは横断歩道の有無で、右に進むと笠松競馬場まで最短距離で行ける反面、途中で横断歩道の無い車道(岐阜県道177号線 下印食笠松線)を渡らなければならないのですが、左に進むと若干遠回りな反面、横断歩道で県道を渡ることができます。

県道を渡って土手を上り、土手の上の道路(こちらは交通整理員の方がいて、安全に横断歩道を渡れます)を渡ると、ようやく笠松競馬場が見えてきます。
なお、笠松駅から笠松競馬場までは、実は中央改札口よりも東口から出発するほうが近かったりします。前述の分岐を左に曲がって少し進んだところに、笠松駅の東口があります。
初めての競馬場は独特の雰囲気…。
仙台のクリスロード商店街にあった、競馬観戦専用施設「VIESTA」と違い、実際の競馬場には馬券を買ってレースの行方を真剣に見守る人たちが多いのではないかと思っていました。端的に言えば、漫画「みどりのマキバオー」みたいなのを想像していました(笑)さすがに全裸とまでは思っていませんが、怒号や、外れ馬券が飛び交っているのではないかと…。
ですが、蓋を開けてみると別にそんなことはなく、訪問時(日曜日だったので中央競馬が開催されていました)には競馬観戦目的のお客さんに混ざって、ウマ娘の痛バッグを身に着けたお姉さんなども訪れており、物見遊山でも入りやすい雰囲気でした。
入り口にはゲートがありますが、入場料などは特に徴収されませんでした1。


笠松競馬場は、戦時中の1935年に開場しています。建物はかなり古く、所々塗装が剥げていたり、錆びているところがあったりします。しかしながら、この年季がむしろ「味わい」となっている気がします。長い間、様々なレースや喜びを見守ってきたのでしょう。

スタンドのピロティをくぐると、コースの近くまで行くことができます。
笠松競馬場のコースは右回りのダートコースです。1周1100mのコースですが、近くで見るとかなり大きく感じます。
そういえばウマ娘のゲームのほうでも、オグリキャップにはダートコース適正があったなぁ…。笠松のダートコースを走っていたからこその、ダート適正だったのですね。ダートコースを走れるウマ娘で、手に入りやすいのがハルウララとエルコンドルパサーぐらいしかいなかったので、チーム競技場用のチームを組むうえでオグリが居ると心強かったんですよ。
ちなみに、Wikipediaには「全国では珍しく競馬場の敷地の98%が私有地になっており、コース内側には畑や水田に墓地まで存在する。」という記述があったのですが、Googleマップの航空写真を見ると本当に畑とお墓らしきものがあって驚きました。

前述の通り、訪問日には笠松競馬は開催されていなかったのですが、日曜日だったので中央競馬が開催されていました。コース内の巨大なモニターでも中央競馬が中継されており、それを観戦しに来ている方も多かったです。

観覧席はこのようになっています。そして、西スタンドには「特別観覧席」が設けられています。コースが広いので、観覧席から直接確認できるのは最終直線に入ってからなのですが、特別観覧席からはコース全体を見渡せるのに加え、各席に設けられたモニターで、発馬の様子や最終直線などを臨場感ある視点で見られるようです。

とても気になる、知らない文化がありました。小さなブースに「ケイバのイロハ教えます!」「予想は1レース100円です」などと書かれています。レース開催日には予想屋さんがここにスタンバイしているのでしょうか。今はその役割もインターネットやスマホあたりに取って代わられているような気もしますが、今もやっているサービスなのか気になります。

場内の各所には、オグリキャップ関連の展示や記念碑があります。



血統が重視される競馬の世界で、血統的にそこまで強いといえず、なおかつ地方競馬からの叩き上げだったオグリキャップが、中央競馬で大活躍したというのはあまりにも物語性があります。
現役生活の晩年には不振が続き、世間からは手のひらを返されたといいますが、それを乗り越え、引退試合となった第35回有馬記念では見事に1着に輝いています。なんというかもう「出来すぎ」です。これがノンフィクションだというのだから、そりゃあ世間も夢中になりますよ…。

オグリキャップのブロンズ像の近くには「オグリの絵馬掛け」が設置されています。こちらにはウマ娘のほうのオグリキャップが描かれたものが多かったです。

その他、敷地内には「勝運稲荷(しょううんいなり)」という稲荷社があります。笠松競馬場の商売繁盛や、競馬ファンの勝利祈願のため、愛知県の豊川稲荷2から、鎮守の豐川吒枳尼眞天(とよかわだきにしんてん)を呼び寄せているとのことです3。
どて煮に豚汁に串カツ!競馬場グルメを味わう!

笠松競馬場の敷地内には、食事処もあります。写真の左奥、緑色のテントの場所に飲食店が固まっています。
笠松競馬場と同様に、食事処も年季の入った雰囲気です。来場客たちのお腹を満たしてきたのはもちろんですが、ウマ娘シンデレラグレイでも、オグリキャップのライバルとなるウマ娘のタマモクロスがここで食事をするシーンがあります。
飲食店側もウマ娘推しで、店頭にオグリやタマのフィギュアが飾られていたり、かんたんオグリ4の描かれた提灯がぶら下がっていたりします。

飲食店はいくつかあるのですが、今回は「美津和家」を利用しました。店頭で味噌おでんやどて煮を煮込んでいて、そのおいしそうな様子に抗えませんでした…!
どて飯、豚汁、串カツを購入しました。

「どて飯」は、店頭の鍋の中でぐつぐつと煮込まれていたどて煮を串から外し、ご飯の上に乗せた一品です。鍋の中の濃くて真っ黒な味噌つゆがよく染みています。どて煮は柔らかくて、芯まで味噌つゆの甘辛くコクのある味が染みていて、心温まる味わいです。
ちなみに、ウマ娘のオグリキャップには、幼き日に「どて煮になること」を夢見ていたという秘密があります5。美味しさで食べた人に喜びと笑顔を与えるどて煮のように、オグリも周りの人に笑顔を与えたかったとか…いや、単に「大好物すぎた」だけかもしれませんが。

「串カツ」は、味付けをソースと味噌から選べるのですが、味噌を選ぶと、なんと提供時にどて煮の鍋から味噌つゆをかけてくれます!これはテンションが上がります!甘辛くて濃い味噌つゆが衣に染みて、ジャンクな食べ応えになります。

「豚汁」は赤だしです。豚肉以外の具材がわかめに大根、豆腐といった、普通の味噌汁のような内容なのが印象的でした。とても落ち着く味ですし、いろいろな旨味が溶け込んでいるのも良かったです。特に、乱切りの大根がホクホク食感で、汁の味も染みていて美味しかったです。

訪問時には、1000円以上の利用で、ウマ娘シンデレラグレイのオリジナルトレカが配布されるキャンペーンが実施されていました。全12種類のランダム封入です。

オグリと、カサマツトレセンでの彼女のトレーナー・北原穣(キタハラ)のツーショットが入っていました。どうやらレア封入だったようで、当たる確率は20%だったのだとか6。ゲームの方のガチャより有情じゃないか(え)
笠松競馬場 まとめ
笠松競馬場は、岐阜県笠松町にある競馬場です。地方競馬「笠松競馬」が開催されています。名馬・オグリキャップのデビューの地としても知られており、近年はウマ娘(特に、2025年にアニメ化された『ウマ娘シンデレラグレイ』)関連でも注目が集まっています。
全体的に非常に年季の入ったレトロな雰囲気で、昭和の香り漂う非日常を感じられます。
グルメも充実しており、東海名物の味噌を使った味噌おでんやどて煮を中心に、気軽につまめる軽食が揃います。今回利用した美津和家以外にも、様々な店舗があります。
町も競馬場もウマ娘関連の来場客を歓迎してくれている雰囲気なので、いわゆる「聖地巡礼」目的でも気軽に立ち寄りやすいです。

笠松競馬場
岐阜県羽島郡笠松町若葉町12
※訪問時点での情報です。
笠松競馬のWebサイトはこちら↓
- 笠松競馬の開催日には入場料100円が徴収されるのですが、令和7年度は開催日も入場無料です。
- 神社ではなく、円福山妙厳寺というお寺です。
- 参考:https://omairi.club/spots/88398
- ウマ娘シンデレラグレイにしばしば登場する、デフォルメされた表情のオグリキャップのこと。
- ゲーム内のロード画面にて「オグリキャップのヒミツ」として紹介されます。
- 参考:https://x.com/Kasamatsu_Town/status/1913155563028201859



コメント