僕が愛知県の情報を仕入れる上で、大いに参考になっているのが東海オンエアの動画です。愛知県岡崎市を拠点に活動する彼らの動画には、必然的に岡崎市をはじめとした愛知県内の風景や施設が多く登場します。同世代のネイティブ愛知県民の男性がどこで食事と買い物をしているかや、どういうものを好んでいるかというのが、とても参考になるのです。
彼らの動画で存在を知り、興味を持ったのが愛知県安城市のラーメン店「豚骨 大岩亭」です。大岩亭のラーメンを再現する動画を投稿しており、てつやさん曰く「レンゲが立つようなとにかくドロドロのラーメン」で「名物店主のお店」なのだとか…1。
天下一品のこってりラーメンが大好きな僕としては、それをさらに上回っているかもしれないドロドロのラーメンに興味津々です。安城市まで足を伸ばして食べに行ってみたところ…そこで待っていたのは衝撃的な一杯でした!
豚の旨味が丸ごと出た濃すぎるラーメン

大岩亭は愛知県道48号線(岡崎刈谷線)沿い、刈谷市と安城市の市町村境近くにあります。ちょうど東海道線の東刈谷駅と三河安城駅の中間辺りです。
入店するやいなや、よく通る声のご主人に席に通されます。一目で「この人が例の名物店主かぁ」とわかる雰囲気があります。
店内は年季が入っている…というと聞こえは良いですが、率直に言ってしまうとボロいです。豚骨の匂いで若干煙かったりもします。しかしながら、お洒落や洗練とは対極な、この無骨さはむしろ「味わい」であるように思えてきます。席は2名掛けのテーブル4つと、4名掛けのテーブル3つ、計20席です。

注文するのはもちろん、噂のドロドロラーメンこと「大岩ラーメン特鳥」の予定だったのですが…。
(ご主人)今日はね、終わったんですよ。
なぁ~~~にぃ~~~~~っ!!!!

17時30分頃の訪問で、特鳥は売り切れでした。昼営業で全部売れてしまったようです。なので、今回は特鳥ではない通常の「大岩ラーメン」を注文することにしました。通常の大岩ラーメンはスープの濃さをあっさりとこってりから選べます。
(海鼠待機中…)
あぁ~~~~~いっ!!!!
えっ!?何!?!?
自分のラーメンが出来上がるのを静かに待っていると、厨房から不意にご主人の雄叫びが聞こえてきて驚いてしまいました。厨房にサソリでも出たかと思いましたが、程なくしてこれが大岩亭名物の「湯切り」であったことに思い至りました。ご主人は豪快に「あぁ~~~~~いっ!!!!」と叫びながら、ラーメンが美味しくなるように魂を込めているのです2。当初はパフォーマンスのつもりはなかったようなのですが「お客さんが楽しんでくれるならそれで良いか」と、持ち前のサービス精神で、現在はサービスの一環にもなっており、実際に写真や動画を撮るお客さんも多いのだそうです。(というかいました)そして、お客さんが湯切りの様子を撮り終えて満足してからも、ご主人は本当にずっと叫んでいました。
あまりキャパシティの大きい店ではないうえに、少ない人数で回しているので、どうしても「待ち」が発生してしまうのですが、ご主人の湯切りがよく見える特等席とも言える場所に待合席が設置されています。こういうところにも、大岩亭のもてなしの心を感じられます。

叫びの後、程なくして注文した「大岩ラーメン」がやってきました。なるほど。あれは僕の分に魂を込めてくれていたのですね。こりゃあ、ありがたいです。
なみなみと注がれた白濁したスープは、丼の底はおろか、麺の姿すら見えません。その理由はたった一つのシンプルなもので「濃いから」の一言です。レンゲが立つわけではありませんが、通常の大岩ラーメンも十分に濃そうで期待が持てます。
そんなスープを一口啜ると、やはり濃かったのですが、その濃さに驚きます。圧倒的な塩味と、しょうがの香味と、豚の野性的な旨味が強烈にやってきます。それはさながら、長時間煮込んだ豚の角煮がごとき旨味の凝縮のされ方です。いや、角煮よりも、もっとワイルドかもしれません。
トッピングは海苔、大切りのネギ、細切れのチャーシューです。チャーシューはほろりと柔らかく、ここからもスープに旨味が出ているような感じがします。
ネギは焼き鳥のねぎま串ぐらい大切りで「こんなに大きいと辛すぎるのでは」と思ってしまうサイズなのですが、スープが強すぎるので、ネギも大きいぐらいで十分です。スープに効いたしょうがの香味も相まって、味を引き締めるアクセントになっています。豚肉を煮込むときに、臭み消しでネギやしょうがを入れることがあるかと思いますが、大岩亭のスープの場合はこの臭み消しすら味の一部として機能している気がします。豚の野性味は強いのですが、ネギとしょうがの刺激が味のバランスを保っているとでもいいますか。

麺は中太麺です。注文時に固さを「やわ~こなおとし」まで選ぶことができます。濃いスープの中で、太さと食感でもって存在感を示しています。
通常の大岩ラーメンも十分に濃かったのですが、だからこそドロドロの特鳥が気になって仕方がありません!お会計の際にご主人にリベンジを誓い、店を後にしました。
こんなラーメンは初めてだ!ドロドロの「大岩ラーメン特鳥」
初回訪問の約1週間後。東海道線にひらりと飛び乗り、今度は開店の11時に合わせて大岩亭を再び訪れました。注文するのはもちろん「大岩ラーメン特鳥」です。
はぁ~~~~~いっ!!!!

とんでもないものがやってきました。丼の上に乗っているのは、スープというか、もはやペーストです。豚骨スープに、鶏のコラーゲンでドロドロに仕上げています。

比喩ではなく本当にレンゲが立っています。天下一品でもここまではやらないですよ!?

「麺とスープの絡み」という概念をよく聞くし、なんなら僕も重視していますが、ラーメンで文字通りにスープが麺に絡んでいる様子はなかなか見ないです。
ですが、この質感こそまさに、求めていたドロドロラーメンです。早速、ドロドロスープをれんげで掬って、飲む…というか食べていきます。味は前述した通常の大岩ラーメンと同じく、骨の髄から抽出された動物系の力強い味に寄り添うように、しょうがの辛味が効いています。ドロドロゆえに、食べて感じるこってりとした感じは通常の大岩ラーメン以上ですね。構造としては豚骨スープの上に鶏のコラーゲンで作ったペーストが乗っているので、しっかり混ぜると味が均一になっておすすめです。

ラーメン注文者には、ご飯のサービスもあります。

スープを上に乗せたり、ご飯をスープにダイブさせたりすることもできますが、個人的には、ご飯をチェイサーにして、ドロドロスープをそのまま食べるのが好みでしたね。食感、塩気、強烈な動物系の旨味の三者をダイレクトに感じられます。いろいろと不安になる濃さに、舌と脳を揺さぶられます。
一口から得られる満足感はもはや暴力的ですが、一口、また一口と欲しくなってしまいます。

気が付けば、ここまで食べていました。もはや、ラーメンを食べた後とは思えない丼ですよ!
大岩亭 まとめ
「豚骨 大岩亭」は愛知県安城市にある有名ラーメン店です。
ずっと食べてみたかった大岩亭のラーメンは、様々な点で印象に残る、忘れられない一杯でした。絵に描いたような年季の入った店内で、快活なご主人が絶叫しながら作り上げるドロドロラーメン。全てがどこか非日常的で、食後にはさながら、テーマパークのアトラクションを満喫した後のような満足感がありましたね…。
代名詞とも言えるドロドロラーメン「大岩ラーメン特鳥」は、豚骨の旨味を骨の髄まで抽出した濃厚豚骨スープを、鶏の骨のコラーゲンでドロドロにした、レンゲの立つ粘度のスープが特徴です。ガツンと来る塩気や動物の旨味と、たっぷりと効かせたしょうがやネギの風味のバランスが良く、ひたすらに食べ応えがあります。
様々な点で、苦手な方はとことん苦手だろうなとも感じる店ではありますが、大岩亭で過ごす時間はまさに、大岩ラーメン特鳥のごとき濃厚な体験になることうけあいなので、気になる方にはぜひ試していただきたいです!
豚骨 大岩亭
愛知県安城市緑町1丁目16-9
営業時間:11:00~14:00/17:00~21:00
定休日:月曜日
※訪問時点での情報です。
大岩亭のSNSアカウントはこちら(営業情報を投稿されています)↓
- 参考:【超本格的】大岩亭の伝説のラーメンを完全再現してみせます – YouTube
- インタビュー記事によると、正確には『はぁ~~~い!』と言っているそうです。
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