世の中には「無くても問題は無いけれど、あったらより便利なもの」がたくさんあります。例えば煮込み料理を作るときに「ダイソーの灰汁取りの紙があったら便利だろうなぁ」と思いながらも、おたまで掬えば何とかなるので未だに買わずじまいです。「鍋で炊けるから」という理由で、炊飯器を持っていなかった時期もありました。
ですが、そういうものは暮らしに導入すると往々にして手放せなくなるものです。炊飯器を使うようになってから、鍋での米の炊き方を忘れている自分が居ます。職場でもiPadをドキュメント管理のために導入したのですが、嵩張らないうえに書き込みも自由自在という電子書籍の良さを知ってしまい、紙の書籍派から寝返りそうになっています。
そういう意味で、ずっと気になっていたのは「サウナハット」です。サウナに入るときに、頭に被るチューリップハットのような形状の帽子です。サウナへ行くと、時々マイサウナハットを被って汗を流している人を見かけることがありました。サウナ好きの知人曰く「あるのと無いのとでは全然違う」とのことでした。熱気から頭を守るために役立つというのはなんとなくわかるのですが、別にそれはタオルでもできるので、気になりつつも「いつか買おう」と買わずじまいになっていました。
とはいえ、経験上、自分から動かないと「いつか」は来ないことが多いです。そろそろサウナに行くようになってから2年経つので、今までとは違うサウナ浴を体験してみたいと思い、先日ついにサウナハットを購入してみました!
今回は、サウナハットを使ってみた感想や、サウナの楽しさについて語っていこうと思います。
ウェルビーのサウナハットを買いました
今回はウェルビー今池にて、オリジナルのサウナハットを購入しました。カラーバリエーションはブラウン以外にもいろいろあります。お値段は5500円と、なかなかしたのですが、どうせなら最初にまあまあ良いものを買って、長く使いたいんですよね。
ウール素材でできているので、お手入れにも注意が必要です。具体的には手洗いが必須です。
一方で、ウールには「吸湿性と断熱性に優れている」という、明らかにサウナで役に立ってくれそうな特徴があるので、期待したいところです。果たしてどのぐらい頭を守ってくれるのでしょうか!?らくスパガーデン名古屋には「サウナハットが頭皮や毛髪を守ってくれる」という張り紙がありました。そろそろ薄毛が心配な中の人にとっては、頭皮保護はとても気になる話題ですからね!
使ってみて気付いたサウナハットの良さ
サウナハットの良さを確かめるには、とにもかくにも実際にサウナで使ってみるのが良いでしょう。行きつけの香流温泉喜多の湯のサウナへお邪魔しました。香流温泉喜多の湯のサウナは座れる場所が5段になっており、上段のほうでは95℃近くまで上がります。しっかりと熱めのサウナです。サウナハットを被り、サウナ室の最上段に座ってみました。
違いはすぐにわかりました。
頭が熱くないぞ!
サウナ室から早く出たくなる理由は、ひとえに熱さに耐えられないからなのですが、具体的には頭が熱いのがきついんですよね。サウナ室は上側に熱気が溜まっているので、当然ながら足先よりも頭のほうが熱いわけです。頭皮が熱でじりじりと焼かれますし、呼吸をすると鼻粘膜が焼かれます。なので、これまではタオルで頭を守って入っていたのですが、サウナハットは薄いタオルよりもずっと堅牢に頭を守ってくれます!タオルによる防護は何だったんだと思ってしまうぐらい、サウナハットを被ると頭頂部が全く熱くないのです。ゆえに、最上段でも、いつもより長くサウナの熱さに耐えられます。
一方で、サウナハットが守ってくれるのはあくまで頭頂部なので、むき出しの鼻はあまり守られません。なので、鼻や口をしっかりと守りたいときには、サウナずきんやmokuタオルを導入するのが良いでしょう。
サウナハットを被ったおかげで、サウナ室の熱い最上段で体をしっかりと温め、ととのうことができました。そして、外気浴を終えて2周目のサウナに入ったときに、サウナハットのもう一つの良さに気付きました。それは汗をかきやすくなることです。サウナハットは強烈な熱気から頭皮を守ってくれる一方で、サウナハットに覆われた頭部に適度な熱気を蓄えてくれるのです。その熱気のおかげで、発汗が促されます。2周目以降のサウナは1周目のサウナほど汗が出ないことが多いのですが、サウナハットを被ることで、1周目と遜色ない発汗に期待できます。
確かに、サウナハットを被ることで、今までとは少し違う快適なサウナ体験ができたのでした。特に、頭部を襲う熱気からしっかりと守ってくれるのが良いですね。コンディションに関係なく、サウナ室に長く居られそうな気がします!
そもそもサウナで「ととのう」ってどういうこと?
ところで、サウナでくつろぐときに、よく「ととのう」という言葉が使われますよね。サウナーは常に至高の「ととのい」を求めてサウナに入るわけです。
しかしながら、この「ととのう」というのが具体的にどういう状態なのか、なかなかイメージができない方も多いのではないでしょうか。「ととのう」という言葉が便利すぎて、よくわかっていないのに、なんだかわかったような気になってしまうんですよ!
なので、サウナに入った後の「ととのう」感覚を頑張って言語化してみたいと思います。
結論から言うと、サウナ上がりに「ととのう」感覚というのは、体が溶けて椅子と一体化したり、体がルービックキューブのようにかき混ぜられるような感覚です!
ますますわけがわかりません!迷宮入りしました!!
サウナ室で熱気を浴びているときには、汗が出る感覚が心地良いです。汗が出れば出るほど嬉しくなります。僕は10分を目安にサウナ室に入っています。
サウナ室を出てから汗を流し、水風呂にしばらく浸かっていると、最初は冷たくてびっくりするのですが、次第に冷たさに慣れて適温に感じられるようになります。この現象はサウナーの間で「天使の羽衣」と呼ばれています。水風呂には1分を目安に入っています。
そして、水風呂から出て外気浴をしているときに、前述の「体が溶ける」や「ルービックキューブのようにかき混ぜられる」といった感覚を覚えるのです。外気浴は頭が覚醒するまで続けますが、大体5~10分費やすことが多いです。不思議なもので、外が暑いときには水風呂で体の表面が冷えたところに風が当たることで涼しく感じられますし、逆に、外が寒いときには、サウナ室で体が芯まで温まっているので、風が吹いてもそこまで寒く感じません(無論、水風呂の水滴をしっかりと拭いておく必要はあります)。
理屈としては、サウナ浴で整っているのは自律神経のバランスです1。ストレスの多い現代社会では、緊張を司る交感神経と、リラックスを司る副交感神経の切り替えがうまくいかなくなることで心身に不調が起こります。ですが、サウナ室で体を温めることで副交感神経が優位になり、水風呂に浸かることで今度は交感神経が優位になり、外気浴で再度副交感神経が優位になります。副交感神経が優位のときには血液が体の末端に送られる一方で、交感神経が優位な時には血液は体の中心に集まります。一連のサウナ浴のサイクルで、温度変化が強制的に自律神経の切り替えを引き起こし、血流が良くなって落ち着くのです。
この、血流が良くなったときに覚える感覚が「体が溶ける」や「ルービックキューブのようにかき混ぜられる」なのです。トリップかもしれません。中枢に集まっていた血流が末梢へ送られることで、心拍数は上がるのですが、じっと椅子に座っていると程なくして落ち着いてきます。この瞬間は、脳内からあらゆる雑念が消えています。ただひたすらに、自分の心臓の鼓動か、露天風呂の水音のみが響きます。体は脱力し、眠気にも似た心地良さを覚えます。
この感覚に至りたいから、僕はサウナに入るわけです。かつてはサウナの熱さも水風呂の冷たさにも苦手意識がありましたが、実際に「サウナ10分、水風呂1分、外気浴10分」を体験してみて、初めて「ととのい」の正体に気付いてから、すっかり病みつきになりました。
ただし、コンディションが悪いと、外気浴のときに恐ろしいほどのめまいに襲われます。そういうときは軽く脱水しかけているので、早々と切り上げることをおすすめします。
サウナハット まとめ
思い切って購入してみたサウナハットでしたが、購入して正解でした!
サウナハットで頭部を覆うことで、サウナの熱気に頭皮や毛髪がやられて抜け毛が起こるのを防いだり、熱気でのぼせるのを防いだり、発汗を促してくれたりといった効果に期待できます。実際に、サウナハットを使うようになってから、熱さでリタイアせずに長くサウナ室に居られるようになり、快適に汗をかけるようになりました。「ととのい」の境地へも、よりたどり着きやすくなった気がします。
確かに、サウナハットが無くてもサウナには入れます。ですが、サウナハットを使うことでより快適にサウナに入れます。言うなればサウナハットは記事の冒頭でも述べた「あったらより便利なもの」です。今後はサウナハット無しでのサウナは考えられないかもしれませんね…
気になっている方は、思い切って試してみてください!安いものだと1200円ぐらいからありますので。
コメント
なるほど、オバサンはもちろん以前から「ととのう」がどういう意味なのかわかりませんでした。
またサウナハットも何のため?と思っていました。疑問が解決してスッキリしました(^.^)
コメントありがとうございます。
解説記事のつもりがえらく主観的な内容になりました(笑)
ですが、ご満足いただけて幸いです。
「ととのう」という言葉が便利すぎて、下手すればサウナ好きの方すら「ととのった」状態がどういう状態か正確に理解していないかもしれないと思っています。ですが、サウナ上がりには記事に書いたような深い落ち着きを覚えるので、おそらくはこれこそが「ととのい」なのだろうと思っていますし、いつもこの状態を目指してサウナに入ります。