名古屋に来たばかりの頃、愛知出身の友人に、名古屋のあまり知られていないご当地グルメについて尋ねてみました。すると「『うそ』や『うちゅう』を食べられる店がある」と、気になる情報を教えてくれました。
嘘や宇宙を食べるとは。グルメではなくライトノベルの世界の話でしょうか!?
どうやらその店は、名古屋市およびその周辺地域に店舗を展開するうどん店「長命うどん」のようです。
それにしても、うどん屋で「うそ」と「うちゅう」ですか。昔読んだ漫画「20世紀少年」にて、鄙びたそば屋にて「ひえひえ」と注文するとレジスタンスの一員として認識され、店の奥に構えたレジスタンスの基地に案内されるというシーンがありましたが、なんだかそのシーンを思い出しますね。
果たして、長命うどんで食べられる「うそ」と「うちゅう」の正体とは一体何なのでしょうか。実食して、確かめてきました!
コシを楽しむ「うちゅう(う中)」
今回は中村区にある「長命うどん 本店」にお邪魔しました。
それにしても、佇まいがどことなく民家です!看板とのれんがかかっているからうどん屋だとわかるようなものですが、どちらも無かったら民家だと間違えてしまうような佇まいです。茶色いタイルの彩りが祖父母宅のそれに非常に似ています(笑)
こんな民家っぽい店で「うそ」や「うちゅう」を食べられるだなんて、それこそ嘘みたいな話ですが、扉を開けると当然ながらきちんとうどん屋でした。店内はカウンター席と座敷席から構成されています。そして、地元のお客さんやビジネスマンがたくさん訪れています。
今回注文したのは「うちゅう」です。どちらかというと「うそ」より「うちゅう」を喰らいたい気分でした。気分はブラックホールです。いや、よく考えるとブラックホールも宇宙を構成する一部なので、僕はこれからブラックホールよりもさらにすごいことをやらかそうとしているのかもしれません。
僕が喰らうべき「うちゅう」が、トッピングのちくわ天と一緒にやってきました。
……ここで種明かしです。当然ながら宇宙を食べるわけではありません!「うちゅう」というのは正確には「う中」で、うどんと中華そばの相盛りメニューのことを指していたのです。当然ながら、一つの丼の中にうどんと中華そばが両方入っており、そこに鰹とムロアジの出汁で作ったつゆをかけて頂きます。
長命うどんでは麺の種類を選べるだけでなく、温度も「かけ」「湯つき」「ぬる」「ころ」「冷やし」から選べるため、麺と温度、さらには好みのトッピングも絡めると、実に100通り以上の食べ方を楽しむことができるのです。
というわけで、早速「うちゅう」を頂きます!
おお!なんだこれは!食感が楽しすぎる!!
うどんは一般的なものと比較すると細めなのですが、へたらない強いコシがあり、それでいてとても滑らかなのど越しがあります。
一方で中華そばはうどんよりもさらにコシが強く、ぷりぷりとした食感が楽しめます。
うどんと中華そばはそれぞれ、食感や風味やのど越しが異なっており、それを一つの丼の中で楽しむことで、対比が互いの良さを引き立ててくれます。「ころ」(常温の麺に冷たいつゆ)で食べることによって、うどんと中華そばそれぞれの強い食感も際立ちます。
つゆも非常に良い仕事をしています。旨味が強く、濃厚な味わいのつゆはうどんとも中華そばとも絶妙に合います。ある意味、つゆの存在が、2種類の麺の間を取り持っている感じですね。そして、このつゆは天ぷらともよく合います。
一杯食べて、一杯分以上の満足感を得ることができました!
ぬるめの「うそ」を頂く!
今度は「うそ」の正体を暴くことにしました。こう書くとなんだかゲーム「逆転裁判」の成歩堂弁護士のようですが、やっていることはただの食事です(笑)
「うそ」の正体は、うどんとそばの相盛りです。
滑らかな舌触りとのど越しのうどんに対し、そばはふやふやと柔らかな食感とのど越しが印象的です。
今回は「ころ」ではなく「ぬる」(温かいつゆ)で頂きましたが、こうすることで麺の柔らかさやのど越しが強調されます。そして、つゆは温かい状態で頂いても、旨味がしっかりしています。かき揚げとわかめをトッピングしたことで食べ応えもより増し、とても満足できました!
この美味しさは「うそ」じゃないですよ!(うまいことを言ったつもり)
長命うどん まとめ
長命うどんは名古屋市内やその周辺地域に店舗を展開するうどん店で、本店は中村区にあります。
創業は大正2年という老舗で、麺は手打ち、出汁は手作りにこだわって作っています。
提供している麺はうどん、そば、中華そば、きしめんの4種類で、それらを好きなように組み合わせて食べることもできます。今回は「う中」と「うそ」を紹介しましたが、もちろんうどんやそば単独で食べることもできますし「うどん+きしめん」という注文もできます。なんなら「うそ中」(うどん+そば+中華そば)という組み合わせまであります!さらに、好みの麺を「かけ」「湯つき」「ぬる」「ころ」「冷やし」といった好きな食べ方や、天ぷら等の好きなトッピングでカスタマイズすることもできます。
値段もリーズナブルで、大盛や二半盛にして天ぷらを一つ乗せても1000円を切ります。
訪問時には店内飲食、テイクアウト1共々非常に多くの方が利用しており、まさに地域に根ざしたうどん店といった印象を受けました。
観光客向けの映えるメニューも良いですが、こういう地域に根ざした興味深い食べ物も積極的に探っていきたいと思いました。最初は「宇宙を喰らう」とか壮大なことを言っていましたが、結果的には身近な地域の身近な食に目を向ける良い機会になりましたよ。
長命うどん 本店
愛知県名古屋市中村区下中村町1丁目3
営業時間:10:00~19:30
※訪問時点での情報です。
長命うどんのWebサイトはこちら↓
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