清水すしミュージアムが、ユルい!(エスパルスドリームプラザ)

清水すしミュージアム内部1 観光・イベント

(シリーズ・なまこマンの2泊3日静岡の旅【さわやか・サウナしきじ・清水港の海鮮丼】

皆様は博物館はお好きですか。僕は博物館や資料館の類がとても大好きで、あまり詳しくないジャンルのものでも積極的に訪問しています。博物館や資料館にはなんといっても貴重な資料が膨大な数存在するうえに、それらのディスプレイにも工夫が凝らされています。貴重な資料は見ているだけで圧倒されますし、効果的なディスプレイは展示内容の理解を助けてくれます。ゆえに、歩いているだけで知識欲が満たされます。もっとも、せっかちな性分ゆえ解説文は斜め読みしてしまいがちなのですが(笑)

静岡旅三日目には、清水港の海鮮を満喫すべく静岡市清水区へ向かったのですが、清水区にはそんな海鮮に関連した、少し変わった「ミュージアム」があります。その名も「清水すしミュージアム」です。

日本を代表する食文化・寿司をテーマにした日本で唯一の博物館、清水すしミュージアムは絶妙なユルさがありつつも、貴重な資料や、寿司がもっと美味しくなるような知識がたくさん詰まっています!

なんかユルいけれど大丈夫ですか!?

エスパルスドリームプラザ外観

清水すしミュージアムは、清水港のショッピングモール「エスパルスドリームプラザ」の2階にあります。施設名の「エスパルス」はサッカーの「清水エスパルス」のことで、清水エスパルスの運営母体の一つである鈴与の関連会社(ドリームプラザ)がエスパルスドリームプラザを運営しています。それにしても、英語表記を見て初めて気付いたのですが、エスパルスって区切る場所が「エスパル-ス」ではなく「エス-パルス」だったんですね(え)

エスパルスドリームプラザ観覧車
エスパルスドリームプラザちびまる子ちゃんランド

エスパルスドリームプラザには、お土産や海産物を購入できる市場や量販店が入居しているだけでなく、大観覧車や、清水区出身の漫画家・さくらももこさんの大人気作品「ちびまる子ちゃん」のテーマパーク「ちびまる子ちゃんランド」といったアミューズメント施設もあり、観光客も地元の方も多く訪れています。

清水すしミュージアム外観

そんなエスパルスドリームプラザのSEA-side2階1に今回の目的地である清水すしミュージアムがあるのですが… あの、本当にここで大丈夫ですか…?雑貨屋さんですよね!?

「清水すしミュージアム」の看板こそ掲げられていますが、通路から見えているのは静岡のご当地雑貨を扱う「静岡工房」と、清水エスパルスグッズを扱う「清水サッカーショップ」です。この奥にすしミュージアムがあるんですか?タマムシゲームコーナーの地下にロケット団アジトがあるみたいな感じ?(え)

すしミュージアム入口

とりあえず奥に進んでみると、清水すしミュージアムの入口はあったのですが… 今度は受付に誰もいないという。一難去ってまた一難です。とはいえ、受付を済ませないことには入館できないので、職員の方を探します。うろついていると、静岡工房にて品出しをしている店員さんがいたので、

すしミュージアムの受付に誰もいないのですが…

と聞いてみました。まあ、ダメ元です。別のテナントの方なので、ご存知でなくても仕方がないかなと思っていたのですが…

(店員)ご案内しますね~

その店員さんが受付してくれました。いや、あんただったんかい!!

気を取り直しまして早速入場です。清水すしミュージアムは入場有料の施設です。大人(中学生以上)500円、子供(4歳以上)200円となっています。

うちわ(表)
うちわ(裏)

入場の際には、記念品としてこのような小さなうちわをもらえます。魚偏の漢字がたくさん書かれています。魚偏の漢字を読み書きできるのがカッコいいと思い、小学生の頃にかなり勉強したのでほぼ全部読めます(笑)

すしミュージアム内部1

さて。入ってみたのは良かったのですが… こちら、入口の暖簾をくぐって、間もなく目前に飛び込んでくる光景です。

僕ね、これを見てちょっと、ある言葉が喉から出かかりましたね。

まあ、でも、ゆうて序盤も序盤ですから… ポケモンで言うならまだポケモン図鑑を貰ってないところです。ある言葉を出すのはもっと先を見てからにしましょう。

すしミュージアムお魚クイズ
すしミュージアムタカアシガニ
すしミュージアム清水の次郎長

雑多なオブジェクトの中には、魚偏の漢字クイズや、タカアシガニの剥製や、海道一の大親分・清水の次郎長のなりきりフォトスポット等、細かなエンタメが散りばめられています。

すしミュージアム内部2

倉庫… じゃなくて先ほどの色々置いてあった場所(煉瓦通り)を過ぎると、風景が一転します。ここは江戸時代から続く清水の下町を再現した「下町通り」です。中まで作られているわけではありませんが、それぞれの外観は愛知県北名古屋市の「昭和日常博物館」のごとく作り込まれており、タイムスリップしたかのような感覚に陥ります。さらに、浴衣のレンタルもあり、和装でこのレトロな空間を闊歩することもできます。しかし、忘れてはいけません。ここは「すしミュージアム」です。何を見に来たのか思い出しつつ辺りを見回しますが、立ち並ぶ店舗に寿司屋の姿は残念ながら見当たりません。

すしミュージアム鮪大明神

下町通りの奥には小さなお社があります。ここに祀られているのは「鮪大明神」で、館内のマグロを祀っています。お賽銭を入れてお祈りすることができますし、おみくじを引くこともできます。ただ、おみくじの内容はまさかの「恋みくじ」でした。大明神といえど、マグロに恋愛成就をすがるほど焼きは回っていないつもりです。大漁祈願とかじゃダメだったのかな!?

清水すしミュージアム内部1

鮪大明神の奥には、街道の町並みを再現した「宿場通り」があります。格子戸から覗く色とりどりの小物が絵になりますが…

これ大丈夫?ユル過ぎんか?記事にできるだろうか…

とうとう言ってしまいました。

蒲郡の竹島ファンタジー館と同じような、言い知れぬB級スポット臭が漂ってきました。とはいえ、竹島ファンタジー館はオブジェの内容こそカオスであるものの「全てを貝殻で作る」というコンセプトは一貫していましたし、貝殻で作られたオブジェの数々はどれも見るものを圧倒する迫力があったので、入場料分の満足感は十分にありました。

ですが、すしミュージアムには今のところ、寿司要素が序盤の魚偏の漢字クイズやタカアシガニの剥製しかありません。下町や宿場町の再現は素晴らしいと思いますが、やはり僕が見たいのは寿司なんですよ。マップを見る限りでは、もう結構終盤まで歩いてしまっています。

「特にネタにできるものを見つけられずに、記事としてはお蔵入り」という展開が現実味を帯びてきましたが… 清水すしミュージアムは最後の最後で逆転劇を見せてくれました。

貴重な資料や豊富な情報と共に清水の寿司を学ぶ!

すしミュージアム屋台再現3

宿場通りを過ぎると、少しだけ雰囲気が変わってきました。目の前にあるのは、江戸時代に握り寿司を考案し江戸前寿司の基礎を築き上げた、華屋與兵衛の寿司屋台です。

お寿司

コハダや白魚や白身魚の握り寿司が、四角い寿司桶にたくさん入っています。一つ一つがかなり大きくて、とても腹持ちが良さそうです。腹ペコには嬉しすぎるサイズです。白魚の握りを食べたいです。これが江戸時代当時は気軽に食べられるファストフードだったとは、すごい時代ですよ。

すしミュージアムお品書き再現

屋台の奥には昭和14年(1939年)当時の、勅令に基づく寿司の販売価格の告示があります。質感からして当時のものでしょうか。昭和14年といえば第二次世界大戦の開戦した年です。えび、穴子、生イカ、シャコ等が7銭、マグロや鰹のような赤身魚が6銭という価格設定が少し意外です。当時はマグロよりもえび等が珍重されていたのでしょうか。なんだかすごいものを見ることができたような気がしますが「すごいもの」はさらに畳みかけてきます。

すしミュージアムミツカン絵画1

こちらの絵画には、何やら煙突の立った工場のようなものが描かれていますが、左上のマークには皆様も見覚えがあるでしょう。こちらはミツカンが提供したもので、現在の愛知県半田市にあった醸造所が描かれています。

すしミュージアムミツカン絵画2

寿司作りに欠かせない、醸造酢ができるまでの工程が描かれています。「尾張国」と書かれているので、おそらく江戸時代のものだと思うのですが、江戸時代にも工場見学のような、工場で行われていることを知りたいという需要があったのでしょうか。いつか半田のミツカンミュージアムも見学に行きたいですね…

すしミュージアムヒゲタ醤油資料
すしミュージアム田丸屋わさび漬け資料
すしミュージアム湯呑み

その他、ヒゲタ醤油やわさび漬けの田丸屋から提供された昔の商品パッケージや広告が展示されていますし、清水港周辺の寿司屋の湯呑みも並べられています。寿司屋の湯呑みも店舗ごとに個性がありますよね。

だんだん温まってきましたよ。これぞ「すしミュージアム」です。こういう場所だからこそ見られる貴重な資料の数々に、テンションが上がってきました。

すしミュージアム年表

最後のエリア「鮨学堂」こそが、清水すしミュージアムの本体と言っても過言でないでしょう。

すしミュージアム魚紹介

日本の寿司文化の歴史や、寿司に用いられる魚介類、米、調味料の情報等が、簡潔にまとめられています。

すしミュージアムなれずし
なれずし

寿司は元々保存食であり、魚を保存するために米を発酵させて作っていました。これがいわゆる「なれずし」です。その原型が生まれたのは東南アジアで、雨季に獲れた魚を乾季まで保存するために、塩で締めた魚を米の中で発酵させていました。その寿司の原型が中国から日本に渡来したのですが、渡来時期ははっきりとしておらず、稲作と同じ頃(2000年前)に渡来したという説もあるのだとか。

時代が下るにつれて保存技術が向上していったのか、魚を発酵させるために用いられ、用が済んだら捨てていた米が、室町時代頃から魚と一緒に食べられるようになりました。ここが寿司という料理にとってのターニングポイントとなったようです。

その後、寿司は米と魚を食べるご飯料理となっていき、江戸時代には江戸前の握り寿司が誕生するわけです。江戸前の握り寿司は関東大震災をきっかけに職人が全国各地に散り散りになったことで全国各地に広まっていますし、現代に至るまで、伝統が守られつつも、時代の流れと共に柔軟に進化を続けています。この辺りは以前図書館で借りて読んだ「読む寿司」という本の内容とも共通するところがあり、同書にて得た知識を再確認する形で展示を楽しむことができました。

すしミュージアムすし横丁

全ての展示の見学を終えると、階段を下り、エスパルスドリームプラザSEA-side1階の寿司屋街「清水すし横丁」近くの出口にたどり着きます。

清水すしミュージアムでは清水すし横丁と連携した割引キャンペーンを実施しており、清水すし横丁にて食事をした場合、ミュージアム入館時に清水すし横丁の店舗のレシートを提示すると入場料が大人250円、子供100円となります。清水すし横丁には回転寿司や寿司カフェ、寿司食べ放題、江戸前寿司といった内容の店舗が入居しており、リーズナブルにお腹いっぱいになりたい需要にも、良い感じの寿司をしっぽりと頂きたい需要にも答えてくれます。今回は河岸の市で海鮮丼を頂いた直後だったので、スルーしています。

清水すしミュージアムを一通り見学した感想としては、不安になるほどユルいところこそあるものの、最終的には満足することができました。多くの寿司屋が軒を連ねるマグロの街らしく、ここならではの貴重な資料が多く揃っていますし、これまで当たり前のように食べてきた寿司という料理について、歴史や豆知識がわかりやすくまとめられているので、展示を見るだけでも解像度が上がり、寿司をより美味しく感じられるようになると思います。浴衣レンタルがあることを考えると、外国人観光客や、映え写真を撮りたい方にもおすすめできそうです。ただ、入って最初の通路はもう少し整理した方が良いような… 不安の一番の原因はそこなので!

清水すしミュージアム まとめ

清水すしミュージアムは、静岡市清水区のショッピングモール「エスパルスドリームプラザ」にある、日本唯一の寿司をテーマとしたミュージアムです。館内には寿司に欠かせない醸造酢と醤油のメーカー(ミツカンとヒゲタ醤油)や、清水港周辺の寿司屋から提供された貴重な資料の数々のほか、寿司の歴史や豆知識のような知れば知るほど寿司が美味しくなる情報が展示されています。

館内には江戸時代から明治時代にかけての清水港の街並みを再現した区画もあり、レトロな映え写真撮影を楽しむこともできます。

入館料は、

一般

大人(中学生以上):500円

子供(4歳以上):250円

団体(20名以上)

大人:450円

子供:180円

障がい者

大人:400円

子供:100円

となっており、1階の清水すし横丁内の店舗の食事レシートを入館時に提示することで入館料が大人250円、子供100円に割引されます。

清水すしミュージアム
静岡県静岡市清水区入船町13-15 エスパルスドリームプラザ2階

営業時間:11:00~18:00

※訪問時点での情報です。

エスパルスドリームプラザのWebサイトはこちら↓

  1. エスパルスドリームプラザはSEA-sideとPARK-sideの2つの館から構成されています。

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