三重県と滋賀県の県境の鈴鹿山脈にある、御在所岳に登ってきました。標高は1212mで、名古屋からは片道1時間半でアクセス可能な近場の名峰です。
三重県菰野町側の山麓にある湯の山温泉から、御在所ロープウェイで山頂付近(山上公園)までアクセス可能ですが、山頂まで続く登山道も複数あります。今回は中級者向けの登山道「一ノ谷新道」から登頂しました。一ノ谷新道は、御在所岳の尾根に沿った急峻な登山道です。岩場あり、急斜面ありの、険しくも歯応えのある登山となりました!そして、登り終えた後のご褒美として、グルメや絶景も満喫してきました。
目標は前穂高岳!登山経験値パワーレベリング
昨年(2024年)から登山を始めました。きっかけは職場で知り合った職員のSさんに誘われたことです。登山好きのSさんは北アルプスの前穂高岳登頂を夢見ており、僕も面白そうだと思ったので、登山の誘いに乗ってみることにしました。

Sさんが登ることを夢見ている前穂高岳は、奥穂高岳方面から吊り尾根伝いにやってくるか、あるいは、上高地から重太郎新道という猛烈に険しい登山道を登ってやってくるかの二つの方法でしか登れない山です。しかしながら、いずれのルートも難易度は高く、登山初心者には厳しい道のりです。
そんな重太郎新道を攻略し、前穂高岳に安全に登頂するには、登山経験値を急速に稼ぐ必要があります。険しい登山道から山を登る練習として、昨年は金華山(馬の背登山道)と三ツ瀬明神山に登りました。いずれも急斜面あり、鎖場ありの、歯応えのある険しい登山となりました。
昨年は天候とSさんの体調問題から、前穂高岳への挑戦が流れてしまったのですが「今年こそは」ということで再挑戦を見据え、それに合わせて登山の練習を再開しました。一緒にハイキングこそしましたが、Sさんと一緒に本格的な山登りをするのは今回が初めてです。一緒に前穂高岳に挑戦するためには、お互いのペースを把握しておく必要があります。さらに、重太郎新道を想定して、なるべく険しい道から登っておきたいところです。

御在所岳の登山道には、裏登山道、中登山道、峠登山道、一ノ谷新道、表登山道の5つがあります1。当初は定番登山ルートであり、なおかつ道も険しめの中登山道に挑戦する予定でしたが、訪問予定日(2025年6月6日)の少し前、2025年5月25日に中登山道の名所の一つである「おばれ岩」の付近が崩落のおそれで通行止めとなったため、代替案として、同じぐらい険しいとされる一ノ谷新道に挑戦しました。
猛烈尾根上り!一ノ谷新道


Sさんの車で朝7時半に名古屋を出発し、9時に御在所ロープウェイ湯の山温泉駅に到着しました。千種区からは名二環→伊勢湾岸自動車道→新名神でとても簡単にアクセスすることができます。

御在所ロープウェイの有料駐車場に車を停め、まずは渓流(三滝川)沿いに急斜面の舗装路を登り、登山道の入口を目指すことにしました。

しばらく進むと、眼前にこれから登るべき御在所岳の姿が見えてきました。ゴツゴツとした荒々しい岩肌が、とても格好良い山です。

約40分歩き、一ノ谷新道の登山口に到着したのですが…。
既にしんどい…。
夏本番にはまだ早いにもかかわらず、6月の東海地方は午前中だというのに陽射しが強く暑いです。おまけに、道のりも終始急な上り坂で、登山口への到着前から既に体力が減っていました。

それでも、登るのが楽しみな気持ちは十分です。Sさんの後ろについて、一ノ谷新道を登っていきます。
あれ?Sさん速くないか?
Sさんご自身は「じじい」と謙遜していましたが、その割には非常に身軽に登っていきます。気付けば、Sさんの背中はどんどん遠ざかっていきます。一方で、僕のほうはというと汗はダラダラで、息も切れ始め「なんでここまで来ちゃったんだろう…。」なんて考え始めていました。思えば、Sさんに誘われてから、頭の中にあったのは「登り終えてからどこの温泉に行こうかな!」ということばかりでした。なんとも浅はかです。一ノ谷新道登山口から登り始めて数分、早くも「こんなところでへばってたら、前穂高岳なんて夢のまた夢では?」と思い始めたのですが…。
あれ?

疲れてきたけれど、体が軽い!
ランナーズハイと同じ原理でしょうか。だんだんと呼吸が落ち着いてきました。

道は最初から「道なき道」といいますか、到底道とは思えないような急斜面や岩場を、踏み跡や木に結ばれた目印のテープを参考に進まなければならないような険しいものでした。

地形図と照らし合わせても、一ノ谷新道は全体が等高線に対して垂直に進むようなルート取りがされており、急斜面であることが伝わるかと思います。

ですが、呼吸が落ち着いてきたことで、効率的に登るルート取りを考えつつ、自然と景色を楽しむ余裕が生まれてきました。

こまめに休憩と水分補給を挟みながら少しずつ登っていくものの、山頂が遠く感じられます。登山マップの縮尺が大きいからか、GPS上でもあまり進みません。当然ながら同じような岩場ばかりが続くので、体力よりも、代わり映えのしない風景のほうで焦れましたね。

とはいえ、当然ながら、進み続ければ必ず上に辿り着くわけで。トレースミスをしないように、こまめにマップとピンク色のテープを確認しつつ登っていくと、ついに目の前が大きく開けました!

御在所ロープウェイの駅がある、山上公園に到着しました。一ノ谷新道登山口からの経過時間は2時間32分です。いやぁ、遠かった!

時間も13時前と、お昼ご飯に丁度良い時間帯でした。なので、御在所ロープウェイ山上公園駅にある展望レストラン「ナチュール」にて、休憩と昼食にしました。湯の山温泉ならではの、絶品メニューが揃っています!(後日投稿予定)
もうちょっとだけ続く。御在所岳山頂へ
一ノ谷新道を登りきり、すっかり「やりきった」感じを出していましたが、現在の場所は山頂ではなく、標高1163m地点の山上公園駅です。なので、ここからもうひと頑張りして、今度は御在所岳の山頂を目指します。

といっても、山頂までの道のりはそこまで険しいものではありません。山上公園からなだらかな斜面2を歩き、20分ほどでアクセスできます。


ついに、御在所岳山頂に到着しました。山頂には一等三角点があり、その周囲はちょっとした公園のようになっています。

県境を示す看板もあります。こういう境界線って、なんだかわくわくしますよね。無意味に真ん中に立ちたくなります。

Sさん曰く、御在所岳山頂からは、天気の良い日には琵琶湖あたりまで見えるとのことでしたが、訪問日は晴れてこそいたものの、空気が霞んでいたため、あまり遠くまでは見通すことができませんでした。それでも、雲の奥に広がる山々と、一面の緑の絶景は、ここまで登ってきた僕たちへのご褒美のように思えます!


帰りは御在所ロープウェイで下山しました。御在所ロープウェイの特徴的な点は、ゴンドラが1分1本の頻度で行き来していることです。さながらスキー場のリフトです。人間がゴンドラの都合に合わせて乗り降りするイメージです。

急斜面の尾根に沿うように進むゴンドラからの景色は、実に見事でした。

さて、湯の山温泉といえば温泉ですね。(すごく馬鹿なこと言ってる気がする)
御在所ロープウェイのゴンドラを降り、Sさんの車に乗って向かったのはアクアイグニスです。アクアイグニスは仙台など、全国各地にあるリゾート施設ですが、その本拠地は湯の山温泉にあります。アクアイグニスの日帰り温泉で、登山後の汗をさっぱりと流してきました!(後日紹介予定)
御在所岳登山 まとめ
御在所岳の登山コースには裏登山道、中登山道、表登山道、峠登山道、一ノ谷新道といった5つの登山道がありますが、今回は一ノ谷新道から登りました。
すれ違った登山客曰く、一ノ谷新道は中登山道などと比べると「荒れている」とのことでしたが、尾根に沿った急斜面や岩場は非常に歯応えがありました。岩登りの補助となるロープや、木で作られたはしごなどもありますが、はしごに関しては朽ちている箇所があるので、きちんと三点保持の原則を守りつつ、体重を預けても良い場所を確認しながら慎重に登りましょう。
観光地化されている山なので、登山道を登りきったところのレストランで休憩したり、帰りはロープウェイで下山したりと、気軽に登山に挑戦できるのも御在所岳ならではの楽しみ方ですね。
名古屋からとてもアクセスしやすい場所でもあるので、また挑戦したいと思います!
なお、御在所ロープウェイの運賃は、
往復
大人(中学生以上):2600円
小人(4歳以上小学生以下):1300円
大人・障がい者割引:1380円
小人・障がい者割引:690円
片道
大人:1500円
小人:750円
大人・障がい者割引:740円
小人・障がい者割引:380円
となっています。
御在所岳
三重県三重郡菰野町菰野
※訪問時点での情報です。
御在所ロープウェイのWebサイトはこちら↓
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