愛知県の郷土料理の一つである「味噌煮込みうどん」には、八丁味噌を使います。土鍋に入ったうどんと具材が、八丁味噌仕立てのつゆでグツグツと煮込まれた状態で出てきます。
味噌汁を作るとき、味噌を入れた後には香りを飛ばさないために煮立たせないようにしますが、八丁味噌の場合は煮立たせても濃厚なコクが失われないため、味噌煮込みうどんやどて煮のような煮込み料理に使えるのだそうです。カクキューの八丁味噌の郷にて教わりました。
そして、八丁味噌の本場である岡崎市在住の友人から、美味しい味噌煮込みうどんの店を教えてもらいました。岡崎市の、明治時代創業の老舗うどん店「大正庵釜春」です。店内で打った手打ち麺を、味噌煮込みうどんや、釜揚げうどんなどで楽しむことができます!
岡崎といえば八丁味噌!「味噌煮込みうどん」

今回は、愛知環状鉄道中岡崎駅および、名鉄名古屋本線岡崎公園前駅のすぐそばにある、大正庵釜春本店にお邪魔しました。釜春はこちらの本店以外にも、岡崎市内の南公園前や、安城市、西尾市に暖簾分けの支店を出店しています。
店内は木のぬくもりにあふれる落ち着いた雰囲気で、座席数も多いのですが、休日には多くの客が訪れて混み合います。また、製麺室には大きなガラス窓があり、客席から製麺の様子を見ることができます。ブロンコビリーへ行った時にも思いましたが、こうやって作る過程を見ることができると、料理は一段と美味しく感じられるような気がします。

メニューにはうどん料理全般が幅広く揃っているのですが、注文したのはもちろん「味噌煮込みうどん」です。やはり、土鍋の中でグツグツと煮えながらやってきます。この茶色くて濃いつゆに、僕はもうすっかり釘付けです。
釜春の味噌煮込みうどんには、餅入り、たぬき、天婦羅といったバリエーションがあるのですが、今回注文したのはデフォルトの味噌煮込みうどんです。デフォルトでも具沢山で、かまぼこ、ネギ、油揚げ、椎茸、鶏肉、卵といった、鍋で煮込んで美味しいものがたくさん入っています。

アッツアツなので、取り皿に麺とつゆと具材を取り分け、丁度良い温度になってから啜ります。
「アッチチ!」とはならない!
濃厚な八丁味噌の酸味とコクに負けないぐらい、魚介節の出汁がしっかりと効いています。八丁味噌と出汁が一体化したつゆは、はっきりと濃い味でありつつ、八丁味噌の風味が心地良い余韻として残ります。
麺はグツグツに煮込まれてなお形と弾力を保つ固さですが、ハフハフと冷ましながらゆっくりと食べていくうちに熱でこなれてきて、つゆも良い具合に染みてきます。この状態がまた美味しいんですよ。
具材の鶏肉はぷりっと柔らかく、油揚げや椎茸もつゆが良い感じに染みてくれます。卵は、こういう煮込みうどんや鍋焼きうどんなんかに入っていると、なんだか嬉しいですよね。半熟の状態で崩して黄身をつゆに混ぜるのもよし、芯まで熱を通してから頂くもよしです。
八丁味噌の本場で味わう味噌煮込みうどんは、とても美味しかったです。特につゆが良かったですね。出汁の効き方が絶妙で、八丁味噌の味わいをより深くしていました。
アツアツの「とり釜揚げうどん」を味わう
「大正庵釜春」という店名からも想像できるかもしれませんが、釜春の看板メニューは釜揚げうどんです。さらに言うと、「釜揚げうどん」といううどん料理自体が釜春発祥だとされています。大正時代初めには、茹で上がったうどんは一旦水洗いしてからつゆに浸けて食べられていたようですが(今で言うざるうどんみたいな感じかな?)、「これでは温かいうどんが食べられない」ということで、茹で上がったうどんを釜から直接取ったのが、釜春の釜揚げうどんの由来なのだとか1。

後日再訪問し、今度は釜揚げうどんを頂いてみることにしました。「たぬき釜揚げうどん」や「とろろ天婦羅釜揚げうどん」、「ぶた釜揚げうどん」など、さまざまな種類がありますが、今回は「とり釜揚げうどん」を注文しました。
アツアツのお湯と麺が入った桶は、釜揚げうどんが考案された大正時代当時にデザインが考えられ、現在もそのデザインのまま続いています。縁の部分が厚いのは、麺を箸で潰せるようにしてあるから…という説もあるようです。
そして、つゆにはネギと、鶏肉がゴロリと入っています。薬味として刻みネギと大根おろしも付いてきます。
釜揚げうどんは麺を冷水で締めずに頂くので、麺が柔らかい印象があったのですが、釜春の釜揚げうどんは、茹でたて熱々の状態でなお、麺に張りとコシがあり歯応えを楽しめます。食べているときにはあまり気にしていなかったのですが、食べログなどのレビューを見ていると「麺が長い」という意見が多く、言われてみれば確かに、一本一本がかなりの長さだったように思います。製麺スペースでも、職人さんが生地をとても大きく広げていました。
つゆはいわゆるめんつゆではなく、鶏出汁のすまし汁を濃い目に作ってつけつゆにしている感じですね。とにかく鶏の旨味とプリプリの食感が美味しいですし、体も温まります。僕は釜揚げうどんのつゆにショウガを入れるのが好きなのですが、釜春のとり釜揚げうどんに関しては、鶏肉の旨味の出たつゆがとても美味しいので、ネギ以外の薬味は無しで味わいたいと感じました。
大正庵釜春 まとめ
大正庵釜春は、愛知県岡崎市の老舗うどん店です。明治創業で、大正時代には「釜揚げうどん」を考案し、現在は岡崎市中岡崎町に本店、岡崎市若松東(南公園前)と安城市、西尾市にのれん分けの店舗が出店しています。
うどん全般を幅広く取り揃えていますが、看板メニューは元祖の釜揚げうどんと、地元の八丁味噌を使ったソウルフードの味噌煮込みうどんです。店内の製麺スペースで手打ちしている麺にはしっかりとしたコシがあり、グツグツでアツアツの味噌煮込みうどんや釜揚げうどんでも、その歯応えと弾力を楽しめます。
個人的に、釜春のうどんで一番気に入ったのは、出汁の美味しさでした。味噌煮込みうどんでは、八丁味噌の味わいを出汁の旨味が引き出していますし、とり釜揚げうどんでは、鶏の旨味が出たつゆの完成度が高かったように感じました。
ちなみに、釜春では釜揚げうどんや味噌煮込みうどんの他に、「もろこしうどん」なるうどん料理も提供されています。これは釜春含む岡崎市の一部のうどん店で食べられる非常にローカルなグルメで、うどんにとうもろこしのたっぷりと入った出汁仕立てのあんをかけたものです。なんですか、この「知る人ぞ知る超ローカルグルメ」感は!またの機会にぜひ味わってみたいものです。
大正庵釜春 本店
愛知県岡崎市中岡崎町6-9
営業時間:11:00~15:00/17:00~21:00
定休日:水曜日
※訪問時点での情報です。
大正庵釜春のWebサイトはこちら↓


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