西大工町の「中華そば いのたに」は、徳島ラーメンを語るうえで欠かせない有名店だ。
いのたには1966年に中華そばの提供を始め、南矢三にあった「中華そば 広東」と共に茶系の中華そばの走りとして知られる。
徳島の中華そばが「徳島ラーメン」として全国区の知名度を得たのは、いのたにの中華そばが「新横浜ラーメン博物館」に出品したことがきっかけだ。
徳島のガイド本でもラーメン店の筆頭として紹介されることの多いいのたには、平日に行っても混んでいることが多い。
そんないのたにに先日久しぶりに行くことができたので、満を持して皆さんに紹介したいと思う!
訪れたのはお昼時とあって、店内はお客さんでいっぱいだった。
メニューは実にシンプルで、「中華そば肉入り」「中華そば」「めし」のみ。そこにトッピングとして生卵を足したり、メンマを増量したりできる。
券売機の横にメニューの英語表記が貼りつけてあり、海外からの来客も多いことが伺える。
ベテランの店員さんが、次々とやってくるお客さんを手慣れた様子でてきぱきと捌いていく。僕も隅のほうのカウンター席に案内された。
店内の壁には、訪れた著名人のサインが大量に貼りつけてある。これでもまだほんの一部だ!
ちなみに安倍首相のサインもある。(テレビの右側の、額に入ったサイン。『いのたに様 美味 安倍晋三』と書かれている)
安倍首相が「美味」と称えた一杯だ。僕も心して味わってみることにしよう。
中華そば大肉とめし(750+150円)
茶色く濁ったスープは、醤油ダレのしょっぱさと、豚骨ベースの出汁の滋味深い味わいのバランスが絶妙で、くどさを一切感じずにすっきりと食べられる。濃いめなようで意外にあっさりと味わえる。
麺は柔らかめでもっちりとした細麺で、ややくたっとした食感がスープによく馴染む。
厚切りの豚バラ肉はしょっぱめのタレの味がよく染みていて、噛めば噛むほど味わい深い。そして、しょっぱめの味付けは白ご飯とも相性抜群だ。
僕が徳島に来る前に抱いていた徳島ラーメンのイメージは「濃厚」「甘辛い」というものだったが、いのたにの中華そばはそのどちらでもなく、甘さ控えめのしょっぱめで、すっきりとした味わいなのは非常に興味深い。
徳島駅前からは距離があってやや歩くが、徳島ラーメンの歴史を知るうえでぜひ味わってほしい一杯だ。
ごちそうさまでした。
徳島県徳島市西大工町4丁目25
コメント